2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790615
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
漆原 良 Ritsumeikan University, 産業社会学部, 准教授 (00398009)
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Keywords | 磁気刺激 / 書痙 / 体性感覚誘発電位 |
Research Abstract |
書痙患者に対する低頻度反復経頭蓋磁気刺激を用いた治療は、機序が解明されていないこともあり、未だ最適な刺激条件の確立には至っていない。本研究は、治療に適した磁気刺激の刺激条件および作用機序の解明を目的としている。本年度は、書痙患者および健常者を対象とし、monophasicによる0.2Hzと0.8Hz、biphasicによる0.2Hzと1Hzによる磁気刺激および0.2Hzのsham刺激を運動前野に250回与える条件を中心に、刺激前後での体性感覚誘発電位(SEPs)および臨床評価の記録を進めた。また、一部条件では皮質脳血流記録も進めた。その結果として、 (1)monophasic 0.2Hzの刺激により、健常者ではSEPsが増大するのに対し、書痙患者では減少すること。 (2)monophasic 0.2Hzの刺激により、健常者では刺激部位近傍の血流が増大するが、書痙患者では変化が見られないこと。磁気刺激前に見られた書痙患者での血流亢進が刺激後には見られなくなること。 (3)書痙患者での、monophasic 0.2Hz、monophasic 0.8Hz、biphasic 1Hzによる刺激では、monophasic 0.2HzでのみSEPsの変化が見られること。 といったことが確認されてきている。 これらは、書痙治療目的として運動前野に与える磁気刺激ではbiphasicよりもmonophasicが、1Hzよりも0.2Hzの磁気刺激がより高い治療効果をもたらす可能性および磁気刺激の作用が健常者と書痙患者では異なる様相を示す可能性を示す結果であると考えられ、磁気刺激の治療応用に向けて重要な知見が得られつつあると言える。 これらの成果は個別ではなくまとめて報告する意義が高いと考え、現在追加実験を行うと共に英文雑誌への投稿準備を進めている段階である。
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