2010 Fiscal Year Annual Research Report
小胞体内異常蛋白蓄積をターゲットとした筋萎縮性側索硬化症の遺伝子治療
Project/Area Number |
20790619
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
山下 賢 熊本大学, 生命科学研究部, 特任助教 (20457592)
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Keywords | 神経科学 / 遺伝子治療 / 神経変性疾患 / 筋萎縮性側索硬化症 / 小胞体ストレス / アポトーシス / 小胞体関連分解 / アデノ随伴ウイルス |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は成人発症の致死的な麻痺性疾患であり、大脳運動皮質、脳幹部および脊髄前角細胞の運動ニューロンの変性と脱落を特徴とする。今日まで有効な治療法はなく、大部分の患者は呼吸筋麻痺のため3~5年で死に至ることから、早急な病因の解明と治療法の確立が求められている。近年、ALSのモデルマウスである変異SOD1マウスでは週齢および組織依存的に、変異SOD1が運動神経の小胞体(ER)に蓄積し、ERストレスによってアポトーシスを来し、運動ニューロンが死滅することが明らかにされた。このERストレスを軽減する可能性のあるDerlir-1についてERストレス軽減効果を検討し、1)野生型および変異型SOD1は、Derlin-1に部分的に共局在すること、2)Derlin-1過剰発現は、変異SOD1による細胞毒性を軽減し、細胞活性を改善すること、3)Derlir-1は変異SOD1によって引き起こされたERストレス経路の活性化を軽減すること、4)Derlin-1は、野生型および変異型SOD1蛋白を減少させること、5)Derlir-1過剰発現は、マイクロゾーム分画におけるSOD1蛋白を減少させること、6)Derlin-1によるSOD1蛋白減少は、SOD1 mRNAレベルの低下ではなく、プロテアソームやオートファジーによるSOD1蛋白の分解促進によることを明らかにした。変異SOD1に及ぼすDerlin-1の影響を検討することは、ALSにおける運動ニューロン変性に対する治療法開発に有用である。
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