2009 Fiscal Year Annual Research Report
DJ-1の細胞内局在ならびに膜輸送における役割に関する研究
Project/Area Number |
20790626
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
今井 哲司 Hoshi University, 薬学部, 研究員 (80468579)
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Keywords | DJ-1 / パーキンソン病 / マウス脳 / 神経細胞 / 細胞内局在 / 小胞体 / 細胞内膜輸送 |
Research Abstract |
単一遺伝子異常で発症する家族性パーキンソン病(familial Parkinson's disease; FPD)の研究は分子レベルで黒質変性の病態を解明できる可能性があり注目されている。DJ-1遺伝子異常に起因するFPD(DJ-1-linked FPD)では、黒質神経細胞が比較的選択的に障害されていることが予想されるが、内因性DJ-1の細胞内局在ならびに脳内における機能的役割については未だ不明な点が多い。そこで、我々はDJ-1-linked FPDの病態を解明する一手として、内因性DJ-1の細胞内局在について詳細な検討を行った。昨年までの研究で、研究代表者は、DJ-1が神経終末部の有芯小胞体上に局在しており、細胞内の膜タンパク質輸送に関与している可能性を見出している。本年度は、内因性DJ-1の機能についてさらに詳細に評価するため、DJ-1が局在する小胞体の特性について検討を行い、さらに、膜タンパク質輸送におけるDJ-1の役割について検討を行った。まず、研究代表者はマウス脳シナプトソームからショ糖密度勾配法(0.2M-2.0M)により小胞体画分を細分画し、小胞体画分におけるDJ-1の局在について検討を行った。その結果、小胞体画分におけるDJ-1の免疫活性ピークは、高密度画分で認められるsynaptophysinの局在ピークと一致し、さらに、分泌小胞体の膜輸送に関与する低分子量Gタンパク質であるRab 3とも共局在していることを確認した。また、免疫沈降法ならびに免疫単離法を用いた検討では、内因性DJ-1が小胞体上の機能タンパク質ではなく、直接的に小胞体膜に結合している可能性を見出した。一方、培養細胞を用いた検討では、このようなDJ-1の分泌小胞体における局在は、DJ-1の病原変異体ではほぼ完全に消失した。最後に、神経系の培養細胞株(SH-SY5Y)にDJ-1およびその病原変異体をそれぞれ発現させ、SH-SY5Yからの液性因子の分泌あるいはdopamine transporterなどの細胞膜タンパク質の代謝回転について比較検討を行った。しかしながら、残念ながら、いずれのDJ-1を発現させた群においても、有意な差は認められなかった。現在、上記の成果のうちの一部を学術論文として投稿している。
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