2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790627
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
柴 佳保里 Juntendo University, 医学研究科, 博士研究員 (30468582)
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Keywords | 家族性パーキンソン病 |
Research Abstract |
本年度の研究成果として、ParkinによるPINK1安定化の分子メカニズムを解明する手がかりを見いだした。具体的には、下記に示した。 1、Parkinリガーゼ活性がPINK1安定化に必須であることを明らかにした。Parkinは、基質に対してユビキチンを付加するリガーゼ(E3)として機能するが、それに反してPINK1ユビキチン化を抑制する。しかし、PINK1の安定化に対してもリガーゼ活性が必須であることから、Parkinは、PINK1安定化を制御する未知分子を基質にすることでPINK1を安定化することが推測された。この結果は、次のステップに進む重要な知見となった。 2、次に、PINK1安定化を分子レベルにおいて明らかにするために、PINK1結合分子のスクリーニングを行い、12因子を同定した。その中でも、E3リガーゼとしてコンセンサスが得られているRING fingerモチーフを持つring finger protein-219という因子に着目し、PINK1安定化に関わる因子かどうかを現在検討している。この因子は機能未知であるが、本研究において脳に高発現していることを明らかにしており、パーキンソン病の病巣部位である脳で機能する分子であることを示唆している。 3、Parkin欠失マウス脳におけるPINK1発現量は、正常マウス脳と比較し有意に減少していることを明らかにした。これらの結果から、生体内においてもParkinがPINK1安定化に関与することを明らかにした。 4、神経芽腫細胞PINK1安定発現株において、内在性ParkinがPINK1と結合することを示した。 今後、ParkinによるPINK1の安定化が神経細胞死をどのように制御するかを明らかにする必要があるが、本年度の研究成果は、両遺伝子に連鎖するパーキンソン病の発症機序を理解する上で重要な知見となる可能陸がある。
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