2009 Fiscal Year Annual Research Report
ラット脳卒中モデルにおける水素ガスを用いた効果の検討
Project/Area Number |
20790628
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
西山 康裕 Nippon Medical School, 医学部, 助教 (20350077)
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Keywords | 脳卒中 / 水素水 |
Research Abstract |
昨年度から引き続き、水素ガスを吸入させることにより脳梗塞体積が縮小するというこれまでの知見を基に、まず水素ガスを溶解させた水素水を経口投与することにより脳卒中自然発症ラット(SHRSP)の死亡率に変化が見られるかを検討した。水素ガスは4気圧を2時間かけ、蒸留水に溶解させた。初期濃度として水素水の電位が-300~-500mVの範囲であることを確認し、水素水および蒸留水は連日交換した。水素水群(n=18),蒸留水群(n=18)で比較検討を行った。結果として、両群間で死亡率に有1意な差を認めず(Log-rank検定p=0.25)、水素水が生命予後に及ぼす影響については確認できなかった。一方で生理食塩水に水素ガスを溶解し、経静脈投与を行う実験を行った。ラットはMale SD rats 8wksを用い、intraluminal suture MCAO 90分間再開通モデルで行った。水素水投与はbolus投与とし、水素水A群は再開通5分前からbolus投与(5ml/kg)、B群は再開通60分後にbolus投与(5ml/kg)とし、対照群と比較した(各群n=5)。24時間後にTTC染色を行い、脳梗塞体積を比較した。結果として、3群間で梗塞体積に有意な変化を認めなかった。水素水投与については経静脈的持続投与を検討したが、持続投与中の水素濃度を保つ事が困難であった。脳梗塞に対して水素ガスを投与することは脳保護効果を有し、脳梗塞治療に有効な方法であると期待されているが、本検討ではいずれも有意な結果を得ることができなかった。今後は水素投与のタイミングおよび量、とくに経路について、効率的な方法を検討する必要がある。
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