2008 Fiscal Year Annual Research Report
筋萎縮性側索硬化症における非自律性神経細胞死の病態解明
Project/Area Number |
20790630
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 博史 The Institute of Physical and Chemical Research, 山中研究ユニット, 研究員 (60402913)
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Keywords | 神経変性疾患 / 神経病態生化学 / 筋萎縮性側索硬化症 / ミクログリア |
Research Abstract |
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動ニューロンが細胞死に陥る病気であるが、ミクログリアが積極的に運動ニューロン死に関与している。そこで本研究では、DNAマイクロアレイを用いてALSマウスモデル脊髄で変動している分子を、細胞特異的なmRNA発現プロファイルを用いることにより詳細に解析し、遺伝子改変マウスを用いた交配実験を経て、特にミクログリアに発現する分子でALSの治療のターゲットとなるものを同定することを目標としている。 まずDNAマイクロアレイを用い七、コントロールマウス(B6, SOD1-WT)と比較した疾患進行期ALSマウスモデル(SOD1-G85R, SOD1-G37R)脊髄のmRNAの発現パターンを解析し、約250個の変動遺伝子を抽出した。細胞特異的マーカーの変動からはALSマウスの脊髄において運動ニューロンの消失、ミクログリアの増加と活性化、アストログリオーシスがみられ、オリゴデンドロサイトに関しては著変を認めなかった。約250個の変動遺伝子は、脊髄を構成する神経細胞、アストロサイト、ミクログリア、オリゴデンドロサイト等の各細胞群における変化の総和であるため、各細胞群のトランスクリプトームを、ミクログリアについては自ら調整して準備し、残りの細胞群については公開データベースから取得、それらを用いて変動遺伝子を発現の多い細胞群別に分類した。その結果、変動遺伝子の約半数はミクログリアに多く発現しているものであることが判明した。我々は、ミクログリアが運動神経細胞に毒性をもたらしているものの候補としてある酵素に着目し、複数あるアイソザイムをすべてリアルタイムPCRで変動を検証、最も変動率が高くミクログリア特異的に発現しているアイソザイムについて、ALSマウス脊髄の免疫染色で活性化ミクログリアと共局在することを確認した。その酵素が実際に運動神経細胞死に関与しているかを検証するため、現在ノックアウトマウスとALSモデルマウスと交配実験中である。
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