2008 Fiscal Year Annual Research Report
多発性硬化症におけるTh17細胞とB細胞の相互作用の解析
Project/Area Number |
20790632
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
佐藤 和貴郎 National Center of Neurology and Psychiatry, 神経研究所・免疫研究部, 厚生科学研究員 (90469990)
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Keywords | 多勢性硬化症 / IL-17 / Th17細胞 / B細胞 / ケモカイン受容体 / CCR2 / CD180 / 脳脊髄液 |
Research Abstract |
IL-17産生性CD4陽性T細胞(Th17細胞)は難病である多発性硬化症(Multiple Sclerosis; MS)の病態への関与が示唆されている。我々は平成19年度、ケモカイン受容体の発現パターンから同細胞を含む分画としてCCR2陽性CCR5陰性の分画を同定した。この分画のMSにおける役割について、再発期・寛解期のMS患者の血液や髄液を用いて、健常者や非MS患者との比較・解析を行った. 近年MSの病態への役割が注目されているB細胞についての検討では、CCR2陽性CCR5陰性分画のT細胞はB細胞のIgG産生能を高め、そのメカニーズムとして同分画の細胞が産生するIL-21が重要である可能性が示唆された。また一部のMS患者において、高い抗体産生能をもつCD180陰性のB細胞が健常者と比較して有意に高いことも判明したが、この細胞はT細胞非依存性に活性化するため、Th17細胞との関連は否定的と考えられた。Th17細胞はCCR4陽性CCR6陽性分画に多く含まれるという他施設の報告を考慮し、MS患者の末梢血中と鮭液中のT細胞のCCR2, CCR4, CCR5, CCR6の発現パターンについて検討したところ、末梢血中では再発寛解の有無にかかわらず健常者と有意な違いは認められなかったが、再発時のMS患者の髄液中においてCCR2陽性CCR5陽性分画が増加している与とがわかった。同分画はIFNγを産生するTh1細胞とTh17細胞の両者を含む分画であり、同分画がMSの再発に関与する可能性が示唆された。そのメカニズムについて今後さらに検討を進めることにより、MSに対するケモカイン受容体阻害療法の応用が考えられる。
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