2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本人特有の第11番染色体上にある糖尿病原因遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
20790640
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
庄嶋 伸浩 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (00447393)
|
Keywords | 遺伝子多型 / 遺伝子欠損マウス |
Research Abstract |
1.遺伝子欠損マウスを用いて機能解析を個体レベルでの解析 本候補遺伝子の遺伝子欠損マウスは、8週間の脂肪をカロリー比で32%含む餌を摂取することにより、インスリン分泌不善を伴った耐糖能の異常を認めた。膵島面積、膵島のインスリン含量は低下しており、膵臓の脂肪含量は変わらなかった。また単離膵島における,グルコース応答性などの刺激によるインスリン分泌の低下を認めた.2光子励起顕微鏡により膵島断面での糖刺激後のカルシウム濃度の低下を認めた。 2.遺伝子欠損マウスの各臓器別にDNAチップによる発現プロファイリングの検討 膵島のmRNAの遺伝子変化を調べたところ、GSK3βのリン酸化が25%抑制され、Pdxでの発現が低下していた。さらに膵島での特異抗体を用いた免疫染色や、in vitroにおけるsiRNAを用いた遺伝子発現抑制法を用いることで、遺伝子発現の変化について確認した。Affymetrix社のGene Chip解析からは、Wntシグナルの低下により、インスリン分泌を低下させると考えられた。 3.当病院におけるヒト脂肪細胞バンクを活用し、発現量とSNPとの関連を調べた 東京大学医学部形成外科と共同で、手術の際の72人分、本遺伝子のmRNA発現量とSNPの関連について解析を行った。本遺伝子のエクソン1の部分にある一塩基多型SNP19のCCアレルを持つ場合は、AAアレルを持つ場合と比較して、糖尿病になりやすく、本遺伝子の発現が有意に低下していた。ヒトにおける本遺伝子の発現量の低下が、糖尿病の発症に関与していると考えられた。マウス膵島における機能解析の結果と一致して、ヒトにおいてもインスリン分泌を低下させて糖尿病発症に関与する可能性が示唆された。
|