2009 Fiscal Year Annual Research Report
家族性高コレステロール血症における構造多型を含めた遺伝的背景の網羅的解明と治療
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20790642
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
野口 徹 Kanazawa University, 医学系研究科, 特任助教 (40456421)
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Keywords | 家族性高コレステロール血症 / LDL受容体 / MLPA法 / apoB-100 / PCSK9 / インベーダーアッセイ法 / 遺伝子大規模欠失・重複変異 |
Research Abstract |
本年度は,家族性高コレステロール血症(familial hypercholesterolemia, FH)と臨床診断された92例を追加し,昨年度と合わせて500例を超える症例でLDL受容体(LDLR)遺伝子既知変異および大規模欠失・重複変異(copy number variation, CNV)のスクリーニングを完了した.さらに,ダイレクトシークエンス法により,変異が検出されなかった185例についてLDLR遺伝子変異の再検索を進めるとともに,アポリポ蛋白B(アポB)およびPCSK9(proprotein convertase subtilisin/kexin type 9)遺伝子についても変異検索を進めた.PCSK9遺伝子変異検索の際にコレステロールを低下させる機能低下型PCSK9変異が検出されたことから,LDLR遺伝子変異の確定したFHについて,その臨床像を修飾する因子として機能充進型/機能低下型PCSK9変異の有無を確認した. 本研究により,LDLR遺伝子に1種のCNVおよび10種の点変異が新たに同定された.日本人で未だ変異が確認されていないアポB遺伝子には,これまでと同様に変異は検出されなかった.さらに,LDLR遺伝子変異と機能亢進型PCSK9変異との合併では,ホモFHの臨床像ながら薬物療法に良好に反応する点で,LDLR遺伝子変異ホモ接合体とは大きく異なることを明らかにした.機能低下型PCSK9変異との合併例は1例のみで詳細な検討は不可能だった. FHの治療を考える上で,遺伝子変異の同定が治療法の選択に結びつく可能性を示すことが出来た点で,本研究は意義深い.また,特定の点変異のみを検索する手法の限界も本研究を通じて確認されたことから,今後はHigh Resolution Melting法のように遺伝子のエクソン単位で変異の有無を検出可能な手技の導入を予定している.
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