2008 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモン受容体を介した膵臓β細胞増殖メカニズムの解析
Project/Area Number |
20790644
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古屋 文彦 University of Yamanashi, 医学部・附属病院, 医員 (90456450)
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Keywords | 膵臓 / 糖尿病 / 再生医療 / 核内ホルモン受容体 / 甲状腺 / 細胞周期 |
Research Abstract |
野生型マウスおよびTR変異マウス(αPV, βPVマウス)における膵臓, 肝臓の器官形成を, 胎生期, 月齢3・7・11において形態学的に評価したところ、胎生期における膵管、内分泌, 外分泌器官の形成過程に、同部位に甲状腺ホルモン受容体(TR)αが成人マウスの60倍以上発現していた。このことから膵β細胞の形成に甲状腺ホルモン受容体の関与が疑われた。膵臓の器官形成におけるTRの作用の機序を解明するために, 膵β細胞由来のcell lineであるMIN6細胞, RIN5F細胞に対し, アデノウイルスベクターを用い野生型TR(TRα, TRβ)、変異TR(αPV, βPV)を強制発現させ, リガンド(T3)存在下、非存在下における細胞周期制御遺伝子の発現量の変化を定量的PCR(RT-PCR), Western blotを用いて解析した。TRα発現細胞において有意に細胞増殖が促進されており、その機序としてTRαによるcyclin D1の発現誘導を介した細胞周期の伸展が誘導されていることが考えられた。FACSを用いた細胞周期の解析でもG1期への細胞周期の進展作用が確認され、BrdU解析においても細胞増殖の活性化が確認された。同内容につき、日本甲状腺学会、アメリカ甲状腺学会において発表し、両学会において日本甲状腺学会若手研究奨励賞, fellow track awardを受賞した。また、現在Journal biological chemistryに投稿中である。今後はTRα発現アデノウイルスベクターAdTRαを作成し、培養細胞に対して強制発現させることで蛋白相互作用を含めて、細胞周期に与える影響につき検討していく予定である。また、膵β細胞の機能を破壊した糖尿病モデルマウスに対しTRαの投与を行い、血糖値およびインスリン分泌能につき評価する予定である。
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