2009 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺ホルモン受容体を介した膵臓β細胞増殖メカニズムの解析
Project/Area Number |
20790644
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
古屋 文彦 University of Yamanashi, 医学部附属病院, 診療助教 (90456450)
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Keywords | 膵臓 / 糖尿病 / 再生医療 / 核内ホルモン受容体 / 甲状腺ホルモン |
Research Abstract |
甲状腺ホルモン受容体(TR)にはαとβのサブユニットが存在する。TRβ遺伝子変異は甲状腺ホルモンに対する反応性が著しく低下する甲状腺ホルモン不応症(RTH)の病態を呈することが知られている。我々はRTH患者家系から同定されたTRβ遺伝子の点変異をCre-LoxP systemを用い遺伝子導入した変異TRβ(βPV)マウス,変異TRα(αPV)マウスを作成し、βPVマウスにおいて甲状腺濾胞癌の発癌や,PI3K経路の活性化が誘導されることを報告してきた。さらに、αPVマウスではPPARγ発現の低下に伴い,褐色脂肪・白色脂肪の著しい形勢不全が見られた。また、βPVマウスでは甲状腺や肝臓において細胞周期制御因子の一つであるPTTGの蛋白質レベルでの発現増加に伴い,細胞周期や細胞増殖に異常が見られた。このようにdominant negativeなTR変異マウス(αPVおよびβPVマウス)において膵臓,肝臓などの臓器の形成異常が見られ,TRの中胚葉由来臓器の形成に対する影響の存在が考えられている。 胎生期ラット膵臓β細胞において器官形成期にTRαmRNAが成人ラット膵臓とβ細胞と比較して60倍もの高容量発現していることを明らかにした。この事実は膵β細胞の増殖にTRが重要な役割を果たしている可能性を示唆するものであり、TRの膵β細胞への作用を検討する目的でTR発現アデノウイルスベクター(AdTR)を作成し、膵β細胞株(RIN5F)に対しAdTRを感染させTRの遣伝子導入を行った。BrdU assayによる細胞増殖能の検討で、TR導入膵β細胞では非導入細胞と比較して有意に細胞増殖能が誘導されていることが明らかになった。
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