2008 Fiscal Year Annual Research Report
プロリル異性化酵素Pin1の糖尿病発症における役割の解明
Project/Area Number |
20790648
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中津 祐介 Hiroshima University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (20452584)
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Keywords | 糖尿病 / Pin1 / インスリン / IRS-1 |
Research Abstract |
本年度はIRS-1に結合するタンパクとしてプロリン異性化酵素Pin1を同定し、Pin1のインスリンシグナル及び糖尿病発症への関与について以下の検討を行った。 (1) IRS-1とPin1はHepG 2での過剰発現系だけでなくマウス肝での内在性の結合も認められた。この結合は脱リン酸化阻害剤オカダ酸処理により増強され、脱リン酸化処理により阻害されるためIRS-1のリン酸化がPin1との結合に必要であることが明らかとなった。 (2) Pin1とIRS-1の結合領域について検討したところ、Pin1はN末側のWW domainが、IRS-1はSET domainの領域で結合することが明らかとなった。 (3) HepG 2にPin1を過剰発現させるとIRS-1のチロシンリン酸化、PI3kinaseとの結合、Aktのリン酸化の顕著な増大が認められ、Pin1阻害剤Juglone処理やsiRNAによるノックダウンを行うと、インスリンシグナルの抑制が認められた。これらの結果より、Pin1はインスリンシグナルを促進させることが示唆された。 (4) Pin1の発現量は、高脂肪食負荷により、肝・筋ともに増加し、絶食時に減少することからPin1の発現は栄養状態により変動することが示唆された。 (5) 糖尿病モデルマウスであるob/obマウスにPin1を過剰発現させると、インスリン抵抗性が改善し、Pin1ノックアウトマウスはコントロールマウスに比べてインスリン抵抗性を示した。 以上の結果より、Pin1はIRS-1と結合することにより、インスリンシグナルを亢進させ、糖代謝の調節に重要な役割を担っていることを明らかにした。
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Research Products
(1 results)