2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790655
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
内田 豊義 Juntendo University, 医学部, 助教 (90465055)
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Keywords | 肝臓 / 糖尿病 / インスリン抵抗性 / 酸化ストレス / PGC-1 |
Research Abstract |
(目的) 酸化ストレスはインスリン抵抗性の原因として広く認識されつつあるが、肝臓の酸化ストレスの軽減効果については詳細不明であり、この効果及び機序を解明する目的で本研究を行なった。 (方法) アデノウイルスベクターを用いて、Superoxide dismutase1(SOD1)を肥満糖尿病モデルマウス(db/db)の肝特異的に過剰発現し、検討した。 (結果) db/dbの肝臓の酸化ストレスはコントロールマウスに比べて亢進していたが、肝へのSOD1過剰発現は肝臓の酸化ストレスを軽減し、血糖値、耐糖能及びインスリン抵抗性も有意に改善した。ピルビン酸負荷試験の結果、糖新生の有意な抑制が認められ、これが肝臓の酸化ストレス軽減による全身の糖代謝改善の機序の一つとして考えられた。さらに、肝糖新生調節遺伝子(phosphoeno1-pyruvate carboxykinaseとperoxisome proliferator-activated receptor γ coactivator-1α (PGC-1α))の発現低下が認められ、それらを正に調節するcAMP-responsive element-binding protein(CREB)のリン酸化が減弱し、負に調節するforkhead box class 01(Fox01)のリン酸化が増強しており、酸化ストレスはこれらのリン酸化の調節を介して肝糖新生を調節していることが示唆された。肝腫瘍細胞を用いた検討により、ROS-JNK-CREB-PGC-1αという新規のシグナルが少なくとも一部に関与していることが示唆された。また、インスリンシグナルはAktのリン酸化レベルでは変化しておらず、ROSによるAkt非依存性のFox01のリン酸化調節も示唆された。 (結論) 酸化ストレスの軽減は肝インスリン抵抗性の治療標的として有用であることが示唆された。
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