2009 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞からのステロイド産生細胞への分化誘導法の確立および分化機序の解明
Project/Area Number |
20790661
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 智子 Fukuoka University, 医学部, 研究員 (10380528)
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Keywords | ステロイドホルモン / 間葉系幹細胞 |
Research Abstract |
Ad4BP/SF-1によって間葉系幹細胞から誘導されたステロイド産生細胞は、副腎ステロイドと性腺ステロイドをともに産生する。Ad4BP/SF-1下流因子が、副腎皮質様細胞または性腺(ライディッヒ)様細胞への分化へ関与するのではないかと予想し、Ad4BP/SF-1による遺伝子発現の変化をマイクロアレイにて解析した。Ad4BP/SF-1によって発現誘導された遺伝子のうち機能未知の遺伝子GRAM domain containing 1B(GRAMD1B)に着目した。GRAMドメインは、数種のタンパク質における共通のアミノ酸配列ドメインとして同定され、細胞内局在に関与していると考えられているが、GRAMD1Bの生体内での機能は不明である。shRNAによるGRAMd1B発現抑制下でのAd4BP/SF-1誘導性ステロイド産生細胞のステロイド産生について検討した結果、GRAMD1B発現抑制下では対照群と比較してテストステロン産生が低下した。このときP450C17の発現が抑制された。ヒト組織におけるGRAMD1Bの発現を検討した結果、mRNAレベルで脳、副腎、腎臓、精巣において高発現であった。また、GFP融合タンパク質発現ベクターを作成し、細胞内局在を検討した結果、小胞体に局在を認めた。これらの結果から、間葉系幹細胞においてAd4BP/SF-1によって発現誘導される機能未知の遺伝子GRAMD1Bは、間葉系細胞からステロイド産生細胞への分化誘導に関与し、特に性腺ステロイド産生細胞への分化誘導に関与することが示唆された。
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