2009 Fiscal Year Annual Research Report
甲状腺癌幹細胞説の証明:甲状腺幹細胞は癌の起源となりうるのか?
Project/Area Number |
20790662
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
光武 範吏 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 助教 (50404215)
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Keywords | 甲状腺 / 幹細胞 |
Research Abstract |
まず、甲状腺初代培養細胞と、そこから単離した幹細胞様細胞について、Affymetrix GeneChip Human Genome U133 Plus 2.0 Arrayを用いて、発現遺伝子の網羅的な解析を行った。3ペアで確認したが、初代培養細胞と幹細胞様細胞のプロファイルには明確な差異が見らるものの、それぞれの種類では同じような発現パターンとなり、幹細胞様細胞の単離には再現性が見られる事が分かった。幹細胞様細胞では、サイログロブリン、TSHレセプター、PAX8、TTF1等の甲状腺特異的遺伝子の発現はほとんど見られず、CD106、CD105、CD90等いくつか間葉系幹細胞様の遺伝子発現亢進が見られ、未分化な細胞集団ではないかと思われた。これらの細胞は、適切な分化誘導を促す培地で培養すると、甲状腺細胞のみならず、脂肪細胞や神経細胞の分化マーカーをも発現するようになった。この事は、我々が施行した特殊な培養法により、甲状腺濾胞細胞にリプログラミングを引き起こした事を示唆する。我々の方法では遺伝子導入は行わず、薬剤や成長因子のみでリプログラムを誘導した事になり、応用の幅が広がる可能性がある。続いて、これらの細胞を不死化、または癌化を誘導するために、hTERT、Bmi-1、BRAFV600E、RET/PTC1等の遺伝子を発現するレンチウイルスベクターを構築した。今後は、これらのウイルスベクターを用いた機能解析実験、さらにより効果の高い培養法、分化誘導方法を検討していく予定である。
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