2008 Fiscal Year Annual Research Report
新規生理活性ペプチドの同定と機能解析による新しい生体調節機構の解明
Project/Area Number |
20790666
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Research Institution | National Cardiovascular Center Research Institute |
Principal Investigator |
森 健二 National Cardiovascular Center Research Institute, 生化学部, 室長 (00416223)
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Keywords | オーファンGPCR / 内因性リガンド / 生理活性ペプチド / 内分泌 |
Research Abstract |
様々な生体機能の調節・維持において、組織間もしくは細胞間での情報交換が非常に重要な役割を果たしており、これらの情報伝達には数多くの生理活性ペプチドが関与している。したがって、新しい生理活性ペプチドを発見することにより、これまで未知であった生体調節機構を明らかにすることが可能である。ほとんどの生理活性ペプチドは、Gタンパク質共役型受容体(GPCR)を介して情報を伝達している。現在、リガンドの不明なオーファンGPCRが約200種類存在し、未知の生理活性ペプチドがリガンドであると推定されるGPCRも存在する。これまでに、これらオーファンGPCRのペプチド性リガンドの探索が活発に行われているが、2005年に我々が発見したニューロメジンS(NMS)を最後に同定されていない。その一因として、多くの研究は、既存合成ペプチドライブラリーを用いたマッチング試験によりリガンドを決定していたことが考えられる。そこで、本研究では天然組織から精製・構造解析することにより、新規生理活性ペプチドの同定を試みる。本年度は、ペプチドがリガンドと推定されるオーファンGPCR cDNA数種類をクローニングし、培養細胞での安定発現細胞株を樹立した。現在、色々な動物組織から抽出したペプチド画分をこれらの細胞に反応させ、受容体に特異的に結合・活性化させるペプチドの探索を行っている。一方、オーファンGPCRであったFM-4の内因性リガンドとして発見したNMSの更なる機能解析を試みた。脳室内投与実験により、NMSは用量依存的に血中オキシトシン濃度を上昇させた。また、NMS中和抗体の投与により授乳刺激による乳汁分泌量が低下した。これらの結果より、NMSはオキシトシンを介して乳汁分泌の調節に関与していることが示唆された。
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