2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790668
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
沖津 庸子 Tohoku University, 病院, 医員 (80451558)
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Keywords | GATA-2 / 間葉系幹細胞 / 造血微小環境 / 脂肪細胞 |
Research Abstract |
正常造血の維持には、造血細胞と、その支持細胞からなる造血微小環境が必須である。転写因子GATA-2は、造血幹細胞(Hematopoietic stem cells : HSC)の維持、増殖に必須の転写因子であるだけでなく、造血微小環境を形成する骨芽細胞や血管内皮細胞、脂肪細胞などのストローマ細胞の共通前駆細胞である、間葉系幹細胞(mesenchymal stem cells : MSC)が分化して形成される。転写因子GATA-2は、脂肪前駆細胞にも発現し、その未分化能の維持に重要な転写因子であることが報告されており、骨髄においてもMSCから脂肪前駆細胞、脂肪細胞への分化に機能している可能性が考えられる。我々はすでにマウス骨髄脂肪前駆細胞株(TBR343)を用いた解析で、GATA-2の発現抑制により、脂肪細胞への分化が促進され、一方で、GATA-2の発現亢進により、分化が抑制されることを見出しており、これらの所見はGATA-2が骨髄間葉系細胞において未分化性の維持に機能していることを示唆する所見と考えている。今年度は、GATA-2遺伝子座にGFP遺伝子をノックインしたマウス(GATA-2-GFPマウス)の骨髄由来MSCを作成し、この細胞がGFPを発現していることを確認した。この所見はGATA-2の転写が実際にMSCにおいて活性化していることを示している。さらにGATA-2コンディショナルノックアウトマウスからMSCを作成後、GATA-2の発現変化によるMSCの分化能を検討したところ、GATA-2ノックアウトMSCでは、早期に脂肪滴の形成を認め、脂肪細胞への分化が促進されることを見出した。現在、この得られたGATA-2ノックアウトMSCを用いて、GATA-2のターゲット遺伝子となる候補遺伝子を同定すべく、検討中である。
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