2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20790670
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中川 正宏 The University of Tokyo, 医学部附属病院, 助教 (10431850)
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Keywords | シグナル伝達 / 癌 / 白血病 / AML1 / NF-kB |
Research Abstract |
われわれはこれまでに,AML1の欠失により,炎症やがん化に関わるNF-κBシグナルが活性化されることを見いだしている.本年度の研究により,AML1はNF-κBシグナルカスケードに位置するIκBキナーゼを抑制することにより,そのシグナル伝達を阻害することが明らかとなったが,非常に興味深いことに,白血病や骨髄異形成症候群(MDS)で形成されるAML1の変異体や融合遺伝子は,NF-κB抑制能を失っていた.MDSで同定されたAML1のC末欠失変異体(S291fsX300)を用いたマウスの白血病モデル,および白血病で高頻度に認められるAML1融合蛋白である,AML1-ETOを発現しているヒトの白血病細胞を用いた白血病モデルを用いてさらに解析を進めた.これらのAML1関連白血病マウスモデルにNF-κBシグナル阻害剤bortezomibを投与したところ,いずれも白血病細胞の増生が個体において抑制された.さらに,in silico解析により,ヒトAML1関連白血病でもNF-κBシグナルが亢進することを見いだした,これらの研究により,AML1関連白血病の有望な治療標的としてNF-κBシグナル分子がもたらされ,今後の発展が期待される. さらにわれわれは,in silico解析の結果,AML1関連白血病以外にも,NF-κBシグナルが亢進している症例の集団を同定した.これらの症例は予後不良であり,NF-κB阻害剤の適応となる症例の層別化に道を開くものであり,今後さらに解析を進める予定である.
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