2008 Fiscal Year Annual Research Report
cyclin Cによるヒト造血幹細胞の機能制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
20790672
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 泰彦 Nagoya University, 医学部・附属病院, 医員 (40467303)
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Keywords | 造血幹細胞 / cyclin C / 細胞周期 |
Research Abstract |
臍帯血より分離したCD34陽性において、cyclin Cに対するshort hairpin RNAを発現するレンチウィルスを感染させることにより、cyclin Cの発現を下げることに成功した。この細胞を用いて、様々なin vitroの実験を行った。cyclinはその多くが細胞周期の調節に関与しているので、まず最初にPI染色による細胞周期の検討を行った。しかしながらこれではサを認めなかった。次に静止期分画の検討を行ったところ、cyclin CをノックダウンしたCD34陽性細胞群ではより多くの静止期細胞を認めた。しかしながら週毎の増殖速度を検討したところ、初期ではcyclin Cノックダウン群で低く、3週以降では高かった。さらに累積増殖cyclin Cノックダウン群で優位に高かった。培養細胞でのコロニー系性能は培養後期cyclin Cノックダウン群で著しく高く、自己複製能が亢進していることが示唆された。しばし自己複製能の亢進は分化ブロックを伴うことが多いので、各種サイトカインを含んだメチルセルロース培地を用いたcolony forming unit assayで分化に与える影響を検討した。顆粒球系、赤芽球系とも著変なかった。これらはより未分化な細胞への作用かどうかを検討する為に、CD34陽性細胞をより未分化なCD38陰性細胞群と分化したprogenitorであるCD38陽性細胞とで比較を行った。CD38陰性細胞群では培養5週目のCD34陽性率やコロニー形成能が著しく高く、これはCD38陽性細胞では認められなかった。このことから、cyclin Cは造血幹細胞を含む未分化な分画で重要な役割を果たしていることが示唆された。これらの結果を論文で投稿するとともに、亢進した静止状態と自己複製能がin vivoにおいても認められるか、マウスへの移植モデルを用いて検討している。
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