2008 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA安定性調節メカニズムを介した造血細胞のアポトーシス制御と白血病への関与
Project/Area Number |
20790675
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松井 啓隆 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60379849)
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Keywords | Bim / Hsc70 / mRNA安定性制御 / アポトーシス / 白血病 |
Research Abstract |
われわれは、サイトカインがBim mRNAを不安定化することによりその発現量を減少させ、造血細胞の生存を維持することを見出した。本メカニズムは、ヒートショック関連タンパク質Hsc70複合体がmRNAを安定化することが核であるが、この調節メカニズムにmiRNAによるmRNA分解機構も関与すると推測し、解析を試みている。具体的には、細胞よりmiRNAが結合したままの状態でmRNAを抽出し、miRNAをプライマーとしてcDNAを合成する方法を用いている。合成されたcDNAの末端を確認することによってmiRNAの種類と結合部位が同定可能である。Bim mRNAは約4.5Kbと比較的長い3'非翻訳領域(UTR)を有しており、これまでに複数の候補miRNA配列が同定された。また各種データベース解析により、Bim3'UTR開始点から約200塩基の領域にmiR-181が結合すると推測された。この部位はヒト・マウス間で保存されており、miR-181がBim mRNA分解に関与するという作業仮説のもと解析を進めている。今後これらmiRNAの、Bim mRNA安定性制御へのかかわりを明らかにする予定である。またわれわれは、Hsc70タンパク質複合体の免疫沈降実験により、Hsc70複合体にmRNA安定化因子poly(A)-binding protein(PABP)が含まれる可能性が高い、という実験結果を得た。PABPはmRNA5'端のcap構造と3'端のpoly(A)鎖を橋渡しし、mRNAをループ状の構造にして安定化することが知られており、Hsc70複合体がPABPをmRNAにリクルートするなどのメカニズムを予想している。
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