2009 Fiscal Year Annual Research Report
mRNA安定性調節メカニズムを介した造血細胞のアポトーシス制御と白血病への関与
Project/Area Number |
20790675
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松井 啓隆 Hiroshima University, 原爆放射線医科学研究所, 助教 (60379849)
|
Keywords | Bim / Hsc70 / アポトーシス / mRNA安定性制御 / 白血病 |
Research Abstract |
造血細胞はサイトカインによりその生存や増殖が厳密に制御されており、サイトカイン非存在下では速やかにアポトーシスを起こす。われわれはこれまでに、造血細胞がアポトーシスを起こす際にはアポトーシス促進タンパク質Bimが発現誘導されること、またこの発現調節がmRNAレベルであることを見出した。詳細な解析の結果、本メカニズムはヒートショック関連タンパク質のHsc70がBim mRNAに結合しこれを安定化するものであることが判明した。すなわち、サイトカイン存在下ではHsc70タンパク質複合体がBim mRNAに結合せず、Bim mRNAが不安定になり発現量が減少する。一方、サイトカイン非存在下ではHsc70複合体がBim mRNAに結合し安定化する結果、Bimタンパク質発現量が増加しアポトーシスが誘導される。Hsc70複合体の認識配列はBim mRNA3'UTRのうちヒトとマウスで高度に保存されている800bp程度のAU-richな配列であるが、同様にAU-richな3'UTR配列を有するfos mRNAはHsc70複合体に依存せず、サイトカインの有無にかかわらず不安定であったので、Hsc70はBim mRNA上のAU-richなコア・エレメント周辺にあるmRNA配列(シスエレメント)を認識し、結合特異性を発揮すると思われる。現在、Bim3'UTRにさまざまな変異を導入したmRNAを合成し、Hsc70複合体との結合能測定を行っている。またmRNAの安定性や翻訳制御にはmicroRNAが関与することが知られているが、われわれはHsc70複合体がmicro RNAと競合的にBim mRNAに結合し不安定化を妨げる可能性や、micro RNAの結合部位をHsc70複合体が認識して結合しmicro RNAの機能を阻害する可能性があると考え、Bim mRNAに結合するmicro RNAの同定を進めている。
|