2008 Fiscal Year Annual Research Report
早期関節炎の治療開始基準:臨床と分子生物学の両面で治療開始のタイミングをとらえる
Project/Area Number |
20790692
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
玉井 慎美 Nagasaki University, 医歯薬学総合研究科, 客員研究員 (60380862)
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Keywords | 診断未確定関節炎 / 関節リウマチ / 自己抗体 / MRI |
Research Abstract |
診断未確定関節炎(Undifferentiated arthritis ; UA)129症例の検討で、フォローアップ1年後75例(58.1%)が関節リウマチ(Rheumatoid arthritis ; RA)へ進展した。特に初診時抗CCP抗体とMRI上骨髄浮腫を共に認めた22例(症例全体の17.1%)は全例RAへ進展し、抗CCP抗体の代わりにIgM-RFを組み合わせでも同様であった。早期RA72症例における骨関節破壊の検討でも自己抗体と骨変化を共に認めた症例は60%と高率に進行を認めている。すなわち、自己抗体かつMRI上骨変化を認める症例はRA発症および骨関節破壊進展の高リスク群であり、積極的な治療介入を要する。この結果からUAに対する治療介入臨床研究を始動中である。UAからRA発症予測に際し、2007年報告のLeiden大学のスコア(総点14点、8点以上で1年後91%がRAへ進展、6点以下で84%がRAへ進展せず)と厚労省江口研究班RA早期診断基準案(自己抗体陽性、MRI上対称性滑膜炎、MRI上骨変化の2/3項目以上陽性でRA)を比較した。Leidenスコアが8点以上の41/43例(953%)、6点以下の23/67例(34.3%)がRAへ進展した。逆に江口研究班スコア2点以上の64例のLeidenスコアの中央値8.16点、2点未満の65例の中央値5.32点と双方のスコアに相関を認めた。私たちは両手同時撮像MRI検査での検討だが、従来は片手のみである。症状の強い手で骨変化を検討したところ症例数は若干少なくなるもののRA進展率は同様であった。以前、無造影MRI検査の報告を行い、滑膜炎は感度77.8%、特異度49。7%と偽陽性が多い一方、骨変化は各々80.7%、99.4%と造影検査とほぼ遜色なかった。以上よりMRI検査における片手・無造影検査の信頼性が確認された。
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