2009 Fiscal Year Annual Research Report
早期関節炎の治療開始基準:臨床と分子生物学の両面で治療開始のタイミングをとらえる
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20790692
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
玉井 慎美 Nagasaki University, 保健・医療推進センター, 助教 (60380862)
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Keywords | 早期関節炎 / 早期治療介入 / 関節MRI / 骨髄浮腫 / 抗CCP抗体 |
Research Abstract |
関節リウマチ(以下RA)への早期治療導入は高い寛解率を示し、早期診断の重要性が高まっている。そこで私たちは関節所見、血清マーカー、関節MRIを用いて、早期関節炎の中からRAへ進展する可能性が高いグループを抽出できるRA早期診断基準案を提案した。(1)抗CCP抗体あるいはリウマトイド因子(IgM-RF)、(2)MRI上対称性滑膜炎、(3)MRI上骨変化(骨髄浮腫あるいは骨侵食)の3項目から成り立っ。今回、非造影MRI所見を用い診断基準案を検証した。結果は、感度76.0%、特異度61.1%、陽性予測値73.1%、陰性予測値64.7%、診断確度69.8%と造影MRI所見でのそれとほぼ同様の結果を得た。 また、IgM-RFもしくは抗CCP抗体陽性かつMRI上骨髄浮腫陽性を満たすUAおよび発症6カ月以内の早期RA症例を対象に早期治療介入試験(Nagasaki Early Intervention Trial)を遂行中である。13症例において骨髄浮腫の経過と骨破壊進行の検討を行った。骨破壊進展群と非進展群において初診時骨髄浮腫スコアの中央値に有意差を認め、治療介入による骨髄浮腫スコア減少率が初診時の1/3以下群とそれ以外の群において1年後の骨破壊進展率に有意差を認めた。骨髄浮腫は将来の骨破壊進展を強く示唆し、治療経過の評価にも有用であった。 関節MRI検査と身体所見との関連について発症2年以内のRAを対象に検討した。関節所見は圧痛と腫脹、関節MRI検査は滑膜炎と骨変化(骨髄浮腫、骨侵食)を評価した。MRI上滑膜炎や骨変化の所見が存在する割合は、圧痛かつ腫脹を認めた場合71.4%、圧痛あるいは腫脹を認めた場合57.6%、関節所見を認めない場合40.4%であり、そのうち骨変化が存在する割合は、各々16.3%、5.1%、3.6%であった(rs=0.47, p-value<0.0001)。
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