2009 Fiscal Year Annual Research Report
FTY720投与によるSKGマウスにおけるTregへの影響と関節炎抑制効果
Project/Area Number |
20790701
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
常見 幸 Hyogo College of Medicine, 医学部, ポストドクター (80425123)
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Keywords | FTY720 / SKGマウス / 関節リウマチ |
Research Abstract |
(目的)SKGマウスは、関節リウマチ(RA)に酷似した自己免疫性関節炎を自然発症するモデルマウスである。スフィンゴシン1リン酸(S1P)は、細胞膜の構成成分であるスフィンゴミエリンから派生するリン脂質だが、細胞外に放出された後、標的細胞膜上の受容体(S1P1~S1P5)に結合し、多彩な作用を発揮する。免疫系において重要な役割を担うT細胞の遊走に関しては、S1PとS1P1の相互作用により、胸腺・二次リンパ系組織からのT細胞の遊走が促進されることが見出されている。本研究の目的は、SKGマウスにS1P1のアゴニストであるFTY720(FTY)を投与し、関節炎の抑制効果を検討し、さらにその作用機序を解析することである。 (研究実施)(1)FTYを投与したSKGマウスと対照群の後肢関節の炎症性サイトカインの発現を免疫組織染色にて解析した。(2)FTYを投与したマウス脾臓CD4+T細胞上のRANKLの発現をFCMにて解析した。(3)アロ抗原刺激脾臓CD4+T細胞のサイトカイン産生に及ぼすFTYの効果を検討した。(結果)FTY投与群では、関節組織における炎症性サイトカインの発現が低下したが、脾臓CD4+T細胞上のRANKLの発現は増加した。また、FTY添加によりアロ抗原刺激脾臓CD4+T細胞のIL-4産生が増加した。 以上より、FTY投与による関節炎抑制機構として、循環T細胞減少作用の他、抗炎症作用、Th2免疫応答誘導など、FTYの多彩な作用の関与が示唆された。昨年度、FTY投与により関節炎が抑制されることを報告したが、今年度はさらに、その抑制効果機序について明らかにできた。FTYは今後、関節リウマチの新たな治療アプローチとなる可能性がある。
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