2009 Fiscal Year Annual Research Report
病原細菌のクオラムセンシングシステムを標的とした治療薬開発のための基礎的解析
Project/Area Number |
20790709
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
五味 和紀 東北大学, 病院, 助教 (20400335)
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Keywords | Quorum Sensing / 自然免疫 / Toll-like receptor / NOD / 緑膿菌 |
Research Abstract |
グラム陰性菌Chromobacterium violaceumのAutoinducer、C12-Homoserine lactone(C12-HSL)の宿主免疫細胞における認識機構に関わる知見として、平成20年度までの予備実験で以下のことを明らかにした。(1)C12-HSLの炭素鎖長のHSLが特異的に宿主細胞を刺激し、特異的な認識機構の存在を想定させる。(2)マウスマクロファージ様細胞株RAW264.7を用いた場合、興味深いことにRAW264.7細胞がlog phaseで増えているときよりも、stable phaseになったときのほうがC12-HSLによるNF-κB誘導活性が強く、RAW264.7細胞がstable phaseになったときに出現してくる何らかの分子が、C12-HSLのシグナル伝達機序に関わる可能性を示唆する。(3)Cytokine誘導実験では、マウスMacrophages様細胞株J774細胞においては全く活性が見られなかった。このことからRAW264.7細胞とJ774細胞の相違点から、宿主細胞の受容体などがみつかる可能性がある。(4)マウス細胞株だけではなく、ヒトモノサイト細胞株THP-1も活性化するため、哺乳類細胞に普遍的に存在する認識機構である可能性がある。(5)C12-HSLの宿主細胞における認識機構の解明のため、病原細菌の代表的認識受容体TLR2、TLR4・MD2をマウスのproB細胞株BaF3にNF-κBレポーター遺伝子と共に発現させた細胞株を用い、これらの細胞株をC12-HSLで刺激してみたが、NF-κBは誘導されなかった。このことからTLR2、TLR4・MD2はC12-HSLの認識分子ではないことが分かった。 これらの知見から、平成21年度は同研究をさらに進め、(1)病原細菌と哺乳類の遺伝学的相同性から受容体を推測する方法、(2)BiotinでHSLを標識する方法、を用いて、C12-HSLの宿主細胞への作用起点の解明を試みた。この結果、C12-HSLをBiotinで標識し、Streptavidinを用い染色する方法で、RAW264.7の細胞質内にC12-HSLの作用起点の候補となる分子を可視化することができた。これらの結果は、Biotin非標識C12-HSLを用いた実験、C12-HSLで拮抗させる実験、等でも確認している。
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Research Products
(1 results)