2008 Fiscal Year Annual Research Report
伝達性キノロン耐性遺伝子の分布とその伝播過程に関する研究
Project/Area Number |
20790712
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
嵯峨 知生 Toho University, 医学部, 助教 (80459809)
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Keywords | キノロン耐性化遺伝子 / プラスミド伝達性 / qnr |
Research Abstract |
キノロンは臨床上有用な薬剤であるため、キノロン耐性菌増加は大きな問題である。qnrBなどのプラスミド伝達性キノロン耐性化遺伝子はキノロン高度耐性菌の急速な蔓延を招く危険性が指摘されている。研究代表者は、Citrobacter属菌がプラスミド伝達性キノロン耐性化遺伝子qnrBを高率に保有することを見出し、Citrobacter属菌が薬剤耐性遺伝子のリザーバとしての役目を果たしているという仮説を立てた。 本年度は、菌株バンクであるAmerican type culture collection(ATCC)から購入したtype strain(菌種同定の際の基準となる菌株)3株を含む5株を対象とした。Citrobacter braakii ATCC51113^TおよびCitrobacter freundii ATCC 6879はqnrB様遺伝子を保有することを確認した。前者はC. braakiiのtype strainであり、後者は抗菌薬が広く使用される前の時代(1932年以前)に分離された、いずれも非臨床分離菌株である。これらqnrB様遺伝子を導入した大腸菌ではキノロン感受性が低下していた。C. freundii ATCC8090^TおよびC. freundii ATCC43864にはqnrB様遺伝子後半のみをコードする領域のみ保有していた。C. braakiiはqnrB様遺伝子を染色体上に保有していた。 各菌株の由来を考慮するとqnrBはCitrobacter属菌株にその起源を有すると考えるのが自然だと思われ、耐性遺伝子リザーバとしてのCitrobacter属菌の役割を明らかにした一例となると考えられた。
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