2009 Fiscal Year Annual Research Report
伝達性キノロン耐性遺伝子の分布とその伝播過程に関する研究
Project/Area Number |
20790712
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
嵯峨 知生 Toho University, 医学部, 助教 (80459809)
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Keywords | キノロン耐性化遺伝子 / プラスミド伝達性 / Qnr蛋白 |
Research Abstract |
キノロンは臨床上有用な薬剤であるため、キノロン耐性菌増加は大きな問題である。qnrBなどのプラスミド伝達性キノロン耐性化遺伝子はキノロン高度耐性菌の急速な蔓延を招く危険性が指摘されている。研究代表者はCitrobacter属菌がqnrB遺伝子を高率に保有し、同菌が薬剤耐性のリザーバの役割を果たしているという仮説を立てた。昨年度の検討で、Citrobacter属菌にはキノロン系抗菌薬が開発される以前に分離された菌株やtype strain(種の基準株)もqnrBを保有する場合があることを見出した。 本年度は、菌株バンクであるAmerican type culture collection(ATCC)由来菌株を機能的側面から検討した。C.freundii ATCC8090^TはqnrB様遺伝子後半のみをコードする領域のみ保有し、これを導入した大腸菌のキノロン感受性は低下しなかった。一方、C.braakii ATCC 51113^Tが保有するqnrB様遺伝子を導入した場合はキノロン感受性低下がみられた。N末端部とC室端部のいずれかを欠く同遺伝子はキノロン感受性低下能を有さず、Qnrの構造と機能の関連が不唆された。また、これらqnrB遺伝子様塩基配列はpspおよびsapのストレス応答オペロン間に存在することが判明した。qnrB様遺伝子の転写は、キノロン曝露によって、代表的なストレス応答系であるSOS応答関連遺伝子とともに増加した。 今後、qnrB遺伝子の分布と多様性をより広く検索することに加えて、同遺伝子の機能、特にストレス応答を介した薬剤耐性や病原性への関与の解明も目指していく。
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