2008 Fiscal Year Annual Research Report
マクロファージによる感染初期応答を制御する新規チロシンリン酸化蛋白質の機能解析
Project/Area Number |
20790713
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Research Institution | National Institute of Infectious Diseases |
Principal Investigator |
松村 隆之 National Institute of Infectious Diseases, 免疫部, 研究員 (50434379)
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Keywords | 感染症防御学 / 自然免疫 / プロテオミクス |
Research Abstract |
生体は様々な細菌やウイルスなどの病原体感染の危険に曝されている。生体は病原体の感染を受けると、樹状細胞やマクロファージなどの貪食細胞に発現するToll-like receptors (TLRs)により多様な病原体成分を認識し、炎症性サイトカイン(TNF-α, IL-6)の産生などの宿主応答を行う。しかしながら、この防御システムは完璧ではなく、過剰反応は生体に敗血症性ショックや死をもたらす。一方で、免疫能が低下した高齢者や病人では、院内感染により命を落とすことが社会問題となっている。抗生物質の濫用による多剤耐性菌の出現はさらに問題を深刻にしている。この社会的要請に応えるために、我々は最先端のプロテオミクス技術SILAC (Stable isotope labeling by amino acids in cell culture)を確立した。本研究ではそのプロテオミクス技術を駆使することによって、TLR4シグナルにおけるチロシンリン酸化ネットワークの全体像を解明し、宿主応答の分子機構の理解を深め、その知見を応用した感染応答の制御を目指す。本年度は、マクロファージ細胞株RAW264.7細胞のTLR4シグナルにおけるチロシンリン酸化蛋白質の同定とそのリン酸化変動の定量解析を行った。その結果、p38, ERK, SHIP, Fes, Pyk2, PLC-γ2といった既知の蛋白質や、38個の新規蛋白質候補を含む合計61個のタンパク質の同定に成功した。また、同定されたチロシンリン酸化タンパク質についてRNAiによる制御実験で機能解析を行い、TNF-αには影響しないが、IL-6および抗炎症性サイトカインIL-10の産生を調節する新規因子を見出した。現在、新規因子が制御するシグナル伝達経路の詳細な解析を進めている。
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Research Products
(3 results)