2008 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病急性期における血管内皮細胞の病原関連分子パターンの解析
Project/Area Number |
20790721
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
廣野 恵一 University of Toyama, 大学病院, 助教 (80456384)
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Keywords | 川崎病 / 血管炎 / サイトカイン |
Research Abstract |
【研究実施計画】対象は、平成15年から平成18年に発症した11人の川崎病患者で、年齢は3ヶ月から7歳5ヶ月(中央値3.8歳)であった。対象の患者は、すべて診断基準を満たし、IVIG療法またはIVMP療法が無効であった。インフリキシマブ投与前後の血液を採取し、ELISA法を用いて、soluble TNF-α receptor(sTNFR)、IL-6、VEGF、myeloid-related protein (MRP) 8/MRP14、S100A12、sRAGEの動態を検討した。また健常群33例および川崎病IVIG反応群18例とIVIG不応群14例についても動態を解析し、インフリキシマブ投与群と比較検討を行った。 【具体的内容】インフリキシマブ投与例11例中8例が、投与後に臨床症状の改善が認められた。3例はインフリキシマブ投与後も臨床症状が改善せず、炎症反応が遷延し、IVMPの再投与およびCyAの投与を余儀なくされた。11例中4例において、冠動脈病変を認めたが、インフリキシマブ投与前より冠動脈病変が認められていた。IVIG反応群ではIVIG投与前において、STNFR、IL-6、VEGF、MRP8/MRP14、S100A12は健常群との比較では有意に高値であったが、IVIG投与後に有意に低下した。IVIG不応群ではIVIG投与前後において、STNFR、IL-6、VEGF、MRP8/MRP14、S100A12は有意に高値を示し続けた。インフリキシマブ投与例ではSTNFR、IL-6はインフリキシマブ投与前に有意に高値を示し、投与後に低下したが、MRP8/MRP14およびS100A12はむしろインフリキシマブ投与後に増加し、VEGFは変化なく高値を示し続けた。 【意義、重要性】本研究により、インフリキシマブは難治川崎病における有効な治療法のひとつであることが示された。またインフリキシマブ治療によりMRP8/MRP14やS100A12といったPAMPおよびVEGFが抑制されなかったことは、全身の炎症機転はインフリキシマブにより抑制されても、局所の血管炎は抑制されないことが示唆され、冠動脈病変の悪化を十分に阻止できない可能性が示された。そのため、難治川崎病においては、インフリキシマブを早期投与することで、単球・マクロファージの活性化を抑え、血管炎の進展を防止することが望ましいと思われた。
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