2010 Fiscal Year Annual Research Report
小児うつ病の臨床的・分子生物学的検討と治療法の開発による自殺予防
Project/Area Number |
20790732
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
川谷 淳子 熊本大学, 医学部附属病院, 医員 (30423669)
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Keywords | 小児 / うつ病 / 遺伝子多型 / SSRI |
Research Abstract |
初診時うつ病が疑われた57名の患者のうち、SDSスコアが40点以上で、DSM-IVの大うつ病性障害の診断基準を満たし、2名以上の小児科医の面談にてうつ病と診断された10-17才の43名(平均14.3±1.3才 M/F=16/27)を対象に5-HTTLPRおよびBDNF多型解析を行った。除外例は統合失調症を含む他の精神疾患9名、自閉症1名、知的障害(IQ<70)2名、他内科的疾患2名であった。また、コントロールとして健常成人(23-68才)100名に対し同様に多型解析を行った。5-HTTLPRのS型アリルの遺伝子頻度は、コントロール群では98%、患者群では94%で有意差は認めなかった。(x^2検定、p=0.20)BDNF多型解析では、Met型の遺伝子頻度は、コントロール群では67%、患者群では70%で有意差は認めなかった。(X^2検定、p=0.76)患者群におけるSSRI投与による治療反応性と薬剤反応性の関連では、未投薬時とSSRI(paroxetine20mg/dayもしくはfuluvoxamin25mg/day)6週間投与後にSDSスコアの評価を行い、スコア攻善率が10%以上をresponder群、10%未満をnon-responderと定義した。両群の5-HTTLPRおよびBDNF多型頻度を比較したが、薬剤反応性と5-HTTLPRのS型アリルの遺伝子(x^2検定、p=0.33)、BDNF Met型の遺伝子(x^2検定、p=0.8)の間に統計学的有意な関連性は認めなかった。現時点では対象が小規模であり、今後さらに症例数の集積を行い、5-HTTLPRがmulti-allelicな多型である点や、SSRIの作用機序がparoxetine、fuluvoxaminで完全に一致しない点、性差などを考慮し再解析を必要とする。
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