2008 Fiscal Year Annual Research Report
HCV母子感染例では母子間でHCVゲノム分子進化速度に差があるか?
Project/Area Number |
20790737
|
Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
伊藤 孝一 Nagoya City University, 大学院・医学研究科, 臨床研究医 (00444977)
|
Keywords | HCV / 遺伝子 / NS5B / 母子感染 |
Research Abstract |
対象と方法 : 対象は当院小児科にてフォロー中のHCV母子感染患者4例及びそれぞれの母親。採取した血液は凝固後、直ちに遠心し、RNA抽出時まで凍結保存した。解析時、保存血清よりSepaGene(三光純薬)を用い、添付のマニュアルに従いHCV RNAを抽出した。抽出したRNA、random Primer及び逆転写酵素を用い、逆転写を実施しcDNAを作成後、NS5b領域に設定したprimer及び、FastTaqを用い、nested PCR法で増幅した。増幅産物は、3%アガロースゲルで泳動後、陽性バンドからDNAを切り出した。 切り出したDNA、2nd PCRで用いた2組のprimer、BigDye Kit(Applied BioSystems)にて、Sequence反応を実施し、Sequence解析装置で、目的領域の塩基配列を両方向から決定した(Direct Sequence法)塩基配列の変化速度をそれそれの母子間で比較した。決定した塩基配列から、遺伝子解析ソフトであるMEGA4を用いて分子系統樹を作成した。 結果 : 児A、B、C、Dの塩基置換速度(substitution/base/year* 10-3)はそれぞれ.0.00、0.74、0.00、0.00で、母A、B、C、Dはそれぞれ0.52、0.99、0.00、8.93であった。分枝系統樹では母子由来の株はそれぞれ同じ枝内にあった。 考察 : 母における変化速度の方が早い傾向がみられ、宿主のimmune pressureの違いを反映していると推定された。分枝系統樹上、母子由来の株はそれぞれ同じ枝内にあり、母子感染として矛盾しなかった。臨床経過とHCVの塩基置換速度との関係については明らかなものは認めなかった。
|