2009 Fiscal Year Annual Research Report
小児炎症性腸疾患における免疫学的検討と免疫調節薬の効果
Project/Area Number |
20790747
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
藤井 徹 Juntendo University, 医学部, 助教 (30420855)
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Keywords | 炎症性腸疾患 / 免疫調節薬 / サイトカイン |
Research Abstract |
当科にて潰瘍性大腸炎(UC)またはクローン病(CD)と診断された症例のうち、免疫調節薬(6MPまたはAZA)を内服しているUC33例とCD20例を対象に6MPの代謝産物である6TGN血中濃度とTPMT遺伝子多型の有無、副作用の発現について検討した。また、そのうちUC20例、CD12例の活動期と非活動期の血清サイトカイン値を測定し比較検討した。更に、UC8例とCD8例とコントロールとして内視鏡所見で正常粘膜であった8例の生検組織を用いて、転写因子をreal-time PCR法で比較検討を行った。結果は、6TGN濃度は活動期と非活動期で有意差は認めず、平均500.80pmol/8×10^8と欧米の報告より高値であったが、免疫調節薬の使用量は低値であった。活動期は非活動期と比べ免疫調節薬の使用量が有意に多く、白血球数が有意に高かった。TPMT遺伝子多型は全例認めなかったが、膵炎や脱毛などの症状が出現した症例もいた。以上から、小児炎症性腸疾患には、比較的安全に免疫調節薬(AZAまたは6MP)を使用可能であるが、遺伝子多型の有無にかかわらず少ない量で6TGN濃度は上昇しやすいため、投与初期は少量から副作用の有無を確認して使用する事が推奨される結果となった。血清サイトカイン値は、活動期と非活動期を比べると、UCとCDともにIL-4値とIL-6値が有意に高く、IL-5,TNF-α,IFN-γ,TGF-β,IL-17,IL-23は有意差を認めなかった。転写因子では、UCがコントロールと比べ、GATA-3、STAT4で有意差を認めたが、CDにおいては、GATA-3, T-bet, STAT4, STAT6いずれも有意差は認めなかった。以上のことから、小児炎症性腸疾患の調節系T細胞は血清中の関与は少なく、大腸粘膜では、小児UCには、IL-4、 GATA-3が強く関与していることが示唆された。
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