2009 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病の冠動脈病変におけるアンギオテンシンIIの役割
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20790750
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
菅沼 栄介 Tokai University, 医学部, 助教 (60408010)
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Keywords | 川崎病 / マクロファージ / アンギオテンシン受容体拮抗薬 |
Research Abstract |
研究の目的は、川崎病モデルにおけるARBの冠動脈に与える有益性を明らかにする事で、今後ARBが治療的介入目的で利用しうる合理的な薬剤のひとつとなる可能性を証明することである。 川崎病モデルマウスについて:昨年度から引き続きWesley C, Chanらの論文を参考にして川崎病モデルマウスであるLCWE(lactobacillus casei wall-extract)誘導性冠動脈炎マウスの作製を試みた。前年度700μgのLCWEしか得られなかったが菌量を増加させることで1mg/mlのLCWEを得た。マウスの腹腔内に注入し42日目で心臓を摘出し、パラフィン包埋しHE染色を行い冠動脈周囲の組織学的検討を行った。77%(7/9匹)のマウスに冠動脈周囲の炎症細胞(好中球、リンパ球など)の浸潤を認めた。しかしこのHE染色のみではヒトの剖検例における冠動脈炎の特徴である単球/マクロファージを主体とする炎症細胞の浸潤や内弾性板の断裂などの動脈構造の破綻などを証明することができなかった。そこで同様のマウスの心臓で凍結切片を作製しマクロファージ/単球に対する免疫染色(MOMA染色)を行ったところ両側冠動脈周囲にのみ浸潤するマクロファージ陽性細胞を豊富に認め冠動脈炎であることをより強く証明する結果となった(コントロールマウスではマクロファージの浸潤はなかった)。この結果を踏まえ、まずさまざまなtime point(1、4、8、12週)で安楽死させそれぞれ組織学的な特徴を評価する。炎症や動脈構造の破綻の程度を定量化する方法(マクロファージ陽性細胞の数、弾性線維の断裂数)を決定し、本題であるARB治療によるこれらのパラメーターの変化を検討することを今年度の目標とする。 また川崎病の冠動脈病変に強く関与するといわれるTNF-α、IL1β、INFγなどのサイトカインの定量解析(Bio-Plexを利用)や免疫染色を行い時間的経過で見た冠動脈病変の特徴を検討する。さらにARB治療による効果も検討が必要であると考える。
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