2008 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植患児におけるロタウイルス抗原血症の解析
Project/Area Number |
20790752
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
菅田 健 Fujita Health University, 医学部, 助教 (60454401)
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Keywords | ロタウイルス / 抗原血症 / 免疫抑制状態 / 造血幹細胞移植 |
Research Abstract |
研究の目的 我々はこれまでに免疫正常な乳幼児ロタウイルス胃腸炎入院患児に対し、ウイルス学的解析を実施し抗原血症の確認ならびにウイルス抗原量と全身症状との関連性を明らかにした。今回は、造血幹細胞移植を受けた免疫抑制状態にある患児においてロタウイルス抗原血症の解析および全身症状との関連性を解析した。 【材料と方法】平成16年9月から平成19年2月に名古屋大学小児科および名古屋第一日赤小児医療センターにて造血幹細胞移植を受けた入院患児68名(男児42名、女児26名 : 平均年齢8.2±5.1歳)を対象とした。被検検体は、移植後約1週間毎に経時的に採取された690の血清サンプルを用いた。A群ロタウイルス'に広く反応するVP6に対するモノクローナル抗体(YO-156)を用いたEIA法にて、被検血清中のウイルス抗原量を測定した。下痢、発熱、肝機能障害などの臨床症状は診療録を後方視的に調べた。 【結果】690検体中61検体(68人中10人)からロタウイルス抗原が検出された。10人中9人では長期間(2〜11週間)ロタウイルス抗原血症が持続していた。この中には長期の抗原血症陽性期間中に、下痢や肝機能障害が持続していた症例もあった。残り1人は散発的にウイルス抗原陽性となった。健常人の第1、第3病日のロタウイルス胃腸炎血清とHSCT後の抗原量(0.19±0.20)を比較したところ有意に前者のほうが高く(0.49±0.18 : P<0011、0.63±0.09 : P<0.005)、健康児の第5病日(0.22±0.19)とHSCT後の抗原量 (0.19±0.20) がほぼ同程度(P=0.9060)だった。 【考察】免疫抑制状態にある患児では、免疫正常者に比べ長期間抗原症が持続していた。このような症例の中には、抗原血症の時期に一致して胃腸症状、発熱および肝機能障害などの症状がおこりGVHDとして認識されていたものもあった。
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