2010 Fiscal Year Annual Research Report
造血幹細胞移植患児におけるロタウイルス抗原血症の解析
Project/Area Number |
20790752
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
菅田 健 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (60454401)
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Keywords | ロタウイルス / 抗原血症 / HSCT / 抗RV IgG抗体 |
Research Abstract |
【目的】我々はこれまでに、造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患児のロタウイルス(RV)抗原血症を解析し、長期間の抗原血症が起きていることを報告した。しかしこの長期間のRV抗原血症は、免疫正常なRV胃腸炎患児の抗原血症陽性例に比し抗原量が明らかに低値であった。そこで本研究ではHSCT後の長期間、低レベルの抗原血症の病態解明を目的とした。 【材料と方法】対象は平成16年9月から平成19年2月に名古屋大学小児科・名古屋第一日赤小児医療センターにてHSCTを受けた入院患児63名。被検血清は、移植日を第0病日として1週間毎に採取。RV抗原量はVP6に対するモノクローナル抗体(YO-156)を用いたEIA法で実施。初期検討では被検血清を16倍希釈、抗原陽性例については再度4倍希釈で測定。またRV IgG抗体は、第0、56日の血清について、SA-11株を用いたEIA法で測定。 【結果】649検体中43検体(63人中9人)でRV抗原陽性が確認された。これら陽性例の16倍希釈血清中の抗原量0.172に対し、4倍希釈血清では0.303と有意に高値であった(P<0.0001)。しかし、抗原陰性40検体について同様の比較をしたが、4倍希釈しても抗原量がカットオフ値以上の検体はなく、16倍と4倍希釈血清間で有意差は認めず(拝0.273)。また抗原陽性例のRV IgG抗体測定値は、第0日(0.704)と第56日(1.052)間で有意な上昇なし(P=0.214)。第0日RV IgG抗体の有無と、移植後抗原血症の有無の解析でも関連性は認めなかった(P=0.767)。 【考察】HSCT後の長期間、低レベルRV抗原血症の特異性が証明された。HSCT患児でのRV抗原血症による免疫誘導は低率で、宿主の免疫抑制の影響が考えられた。またHSCT以前のRV IgG抗体はRV抗原血症防御には有効でない可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)