2009 Fiscal Year Annual Research Report
Rett症候群モデル胚性幹(ES)細胞による病態解明と治療法の開発
Project/Area Number |
20790756
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
岡部 恭典 Kurume University, 医学部, 助教 (00446098)
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Keywords | 再生医学 / 遺伝子疾患 / 脳神経疾患 / 胚性幹細胞 |
Research Abstract |
Methylated-CpG binding protein2(MeCP2)はReTT症候群(RTT)の原因遺伝子と考えられており、標的遺伝子のメチル化DNAと結合する事によって標的遺伝子の発現を抑制する転写制御因子として働く事が知られている。これまでにMeCP2の標的として、BDNF、hairy2等の神経系遺伝子が同定され解析が進められているが、MeCP2遺伝子の欠損が疾患を引き起こす具体的な機構の解明には至っていない。我々は当該年度においてMeCP2遺伝子を欠損したES細胞を用い、神経系細胞へと分化を誘導し、MeCP2遺伝子が神経系細胞の分化・成熟の過程に与える影響を調べた。その結果、MeCP2遺伝子欠損ES細胞においては、神経細胞、dopamine産生細胞への分化過程初期には明らかな差異は認められなかった。しかし、GFAP陽性星状膠細胞への分化の亢進が認められ、また、分化後の神経細胞の電気生理学的解析においては、その成熟度に明らかな差異が認められた。以上の結果から、MeCP2遺伝子の欠損は神経細胞への分化の初期過程には明らかな影響を与えず、その成熟段階において影響を与える可能性が示唆された。また、GFAP陽性星状膠細胞は神経細胞の機能形成に関わることから、この機構が関連した神経細胞の機能成熟に対して影響を与える可能性が示唆された。今回得られた知見は、疾患の原因についての考察を行う際に重要となる情報を提示し、また、治療計画を構築する際の標的細胞や、治療の開始時期の考察に際し重要となる情報を提示しているものと考えられた。
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Research Products
(1 results)