2008 Fiscal Year Annual Research Report
ダウン症候群精神遅滞の発症におけるDSCAMの役割の検証
Project/Area Number |
20790758
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
天野 賢治 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経遺伝研究チーム, リサーチアソシエイト (60333340)
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Keywords | ダウン症候群 / 精神遅滞 / Ts1CjeDSCAM / 動試験 / マウスモデル / トリソミー / 過剰発現 |
Research Abstract |
精神遅滞や特有な顔貌を主な特徴とするダウン症候群は、ヒト21番染色体トリソミーにより発症し、異数性染色体により引き起こされる精神遅滞の中では最も発症頻度が高く、約700人に一人の割合である。申請者は、ダウン症候群の多岐にわたる症状の中で精神遅滞に着目し、マウスモデルを用いることによりその発症機序の解明を目指して研究を行っている。ダウン症候群精神遅滞の発症には、21番染色体上遺伝子の過剰発現が関わっていることが考えられるが、実際にどの遺伝子の過剰発現が関与しているのかはよくわかっていない。本研究課題では、精神遅滞様症状を示し、ヒト21番染色体に相同なマウス16番染色体部分トリソミーであるダウン症候群マウスモデル(Ts1Cje)を用い、申請者が候補遺伝子の一つと考えている21番染色体上の遺伝子DSCAM(Down syndrome cell adhesion molecule)のヘテロマウスと交配を行い、トリソミー領域内のDSCAMのみを3倍体から2倍体に戻すことにより、精神遅滞様症状が改善されるかどうかを検討することを目的とする。平成20年度は、マウスの交配及び行動学的試験を中心に解析を行った。先ず、Ts1Cjeマウスで観察される体重の減少及び新奇環境での活動量の増加について解析をしたところ、DSCAMを2倍体に戻したことによる改善は見られなかった。また、精神遅滞様症状に関連する行動試験については、現在検討を行っている。この研究により、ダウン症候群精神遅滞の発症におけるDSCAMの役割について、動物個体レベルでの検討を行うことが可能であり、得られる結果は精神遅滞の発症機序を理解する上で有益な情報となり得ることが期待される。
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