2008 Fiscal Year Annual Research Report
乳児重症ミオクロニーてんかんモデルマウスを用いた遺伝子治療法の開発
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20790759
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山形 哲司 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (00338766)
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Keywords | 乳児重症ミオクロ二ーてんかん / 抗体修飾リポソーム / SCN1A / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)患者の多くは、ナトリウムチャネル(NaV 1.1)αサブユニットをコードするSCN1A遺伝子の欠損によって発症することが報告されている。SCN1A遺伝子を欠損したマウスは、乳児重症ミオクロニーてんかんと同様の異常を示すことから、このSMEIモデルマウスを用いて遺伝子導入による治療法の開発に取組んだ。 Shiらによって報告された抗体修飾リポソームの作製法について、DNA封入、微細化、抗体修飾、リポソーム精製のステップについて最適化と改良を行い、作製時間を大幅に短縮させることが可能となった。この抗体修飾リポソームによる遺伝子導入を評価する為に、レポーター遺伝子のリポソームを作製して培養細胞とマウス個体へ遺伝子導入を行った結果、培養細胞とマウス個体共にレポーター遺伝子の発現が確認された。しかしながら、マウス脳への遺伝子導入効率は、十分に高いとは言えなかった。マウス組織での遺伝子発現は、発現ベクターに含まれるプロモーターによって異なっており、脳内で導入遺伝子をより効率的に発現させる為には、使用するベクターの検討も必要であることが示唆された。またSCN1A遺伝子以外の因子による治療法として、in vivo実験において内在性SCN1Aの発現量を数倍上昇させる活性が報告されたSCN2Bの細胞内ドメイン(β2-ICD)の効果を検討した。SH-SY-5Y細胞にβ2-ICDを発現させ、免疫染色によりSCN1A遺伝子の発現を調べたが、β2-ICDの核移行が不十分で、SCN1A遺伝子の発現上昇は認められなかった。今後は、端体修飾リポソームだけでなく市販遺伝子導入試薬を併用して導入遺伝子の発現向上とβ2-ICDの核移行性を向上させ、SMEIモデルマウスでの治療効果を検討する予定である。
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