2009 Fiscal Year Annual Research Report
乳児重症ミオクロニーてんかんモデルマウスを用いた遺伝子治療法の開発
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20790759
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山形 哲司 The Institute of Physical and Chemical Research, 神経遺伝研究チーム, 研究員 (00338766)
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Keywords | 乳児重症ミオクロニーてんかん / 抗体修飾リボソーム / SCN1A / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
乳児重症ミオクロニーてんかん(SMEI)患者の多くは、ナトリウムチャネル(NaV 1.1)αサブユニットをコードするSCN1A遺伝子の欠損によって発症することが報告されている。SCN1A遺伝子を欠損したマウスは、乳児重症ミオクロニーてんかんと同様の異常を示すことから、このSMEIモデルマウスを用いて遺伝子導入による治療法の開発に取組んだ。従来のリボソームによる遺伝子の導入は、ln VitrO/in vivoの双方で確認出来たが、モデルマウスの治療には十分ではなかったため、さらに遺伝子導入の効率を高めることが必要であった。そのため発現ベクターの変更とともに新たにリボソームの粒径や修飾タンパクの変更を検討した。また、市販のin vivo遺伝子導入試薬であるExGen500による導入も検討し、リボソームによる遺伝子導入と比較してその効率を評価した。検討の結果、リボソームを修飾するタンパク量には、最適値があり、過剰なタンパクの結合は遺伝子導入の効率を低下させることが判明した。また、粒径については、内包するDNA量が減少するものの、より粒径の小さいリボソームのほうが細胞への取り込みは良いことが示された。現時点でのリボソームによる遺伝子導入効率は、最高で市販試薬の約4割であった。しかしながら、組織特異性ではリボソームによる導入の方が優れていた。結論として現時点でのリボソームによる遺伝子の導入は不十分ではあるため各要素の改良がさらに必要ではあるが、本研究においてリボソームの物性を明らかにしたことで改良の可能性が得られた。これまではモデル動物の治療には至らなかったが、SME1モデルマウスにおいては、てんかんを発症する主な原因が特定の細胞におけるSCN1A遺伝子の欠損によることが判明してきており、今後は特定の細胞に対する遺伝子導入や発現制御が課題となると予想される。
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