2009 Fiscal Year Annual Research Report
川崎病に於ける冠動脈瘤発症と活性酸素生成酵素Noxファミリー
Project/Area Number |
20790761
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
守屋 美恵 National Research Institute for Child Health and Development, 母児感染研究部, 共同研究員 (60470001)
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Keywords | 川崎病 / 冠動脈瘤 / NADPH oxidase / 血管内皮細胞 / 活性酸素 / TNF-α / 好中球 / 血管外遊出 |
Research Abstract |
川崎病は冠動脈瘤を併発する小児期特有の急性熱疾患であり、急性期に血中TNF-α濃度が上昇する。最近、L.caseiの細胞壁抽出物(LCWE)を投与した川崎病モデルマウスを用いて、TNF-αが冠動脈瘤形成の鍵を握ることが報告された。TNF-αは食細胞や血管内皮細胞の活性酸素生成能を亢進させるが、亢進した好中球(Nox2)由来の活性酸素が血管内皮細胞のICAM-1発現を促し、好中球の血管外遊出を促進すると報告されている。血管外遊出した好中球は、冠動脈瘤形成に至るエラスチン断裂に大きく関与する。しかし、Noxに対する阻害剤や還元剤を用いた間接実験で直接的な証明はない。昨年度は、川崎病モデルマウスを作製してNox2-KOマウスに適用し、血管内皮細胞でのICAM-1発現に好中球由来の活性酸素が関与しない事を報告した。本年度は、TNF-αが単独でマウス血管内皮腫細胞(UV♀2)のICAM-1発現を促し、Nox2-KOおよび野生型マウスの好中球が同程度にICAM-1の発現を亢進する事が分かった。従って、TNF-αは直接血管内皮細胞のICAM-1を発現させると考えられる。我々は以前、ヒト冠動脈血管内皮細胞がNox4AとNox4Bを発現し、TNF-αがそのH_2O_2生成活性を亢進することを報告した。更に、Nox4Aは膜画分に、Nox4Bは核画分に存在していた。そこで、Nox4AとNox4Bの細胞内局在性および活性酸素生成能を細胞レベルで解析するため、GFP-Nox4AおよびGFP-Nox4Bプラスミドを構築し、HEK293T細胞にトランスフェクトした。Nox4AおよびNox4Bのバンドが検出され、分子量の違いも識別できた。Nox4AおよびNox4Bの特性およびICAM-1発現に繋がるシグナル経路との関連が明らかになれば、冠動脈瘤形成に於けるNox4の作用機序が明らかになるであろう。
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