2008 Fiscal Year Annual Research Report
小児難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ療法の作用機序の解明
Project/Area Number |
20790762
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
中山 真紀子 National Research Institute for Child Health and Development, 腎臓科, 客員臨床研究員 (80469999)
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Keywords | 小児難治性ネフローゼ / リツキシマブ / B細胞 |
Research Abstract |
近年、小児難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ(抗CD20モノクローナル抗体)の有効性が報告されているが、その作用機序は不明である。本研究では、リツキシマブ投与前後の末梢血リンパ球の表面抗原の発現や遺伝子発現やサイトカインを主とする遺伝子発現の変化を最新の方法で解析、臨床所見の関係を検討し、リツキシマブの作用機序および小児ネフローゼ症候群の病因・病態を解明することを目的とする。 本年度は、小児期発症の難治性ネフローゼ症候群12症例に対して、リツキシマブ療法として375mg/m^2の単回投与法を行うパイロット研究の結果をまとめたので報告する。その結果、リツキシマブ投与前6ヶ月間と比較して、投与後6ヶ月間では有意に再発頻度やステロイド投与量を減少させることができ、ステロイド中止期間も有意に長かった。一方で12例中9症例が平均129日後の時点で、末梢血B細胞数の回復とともに再発を認め、追加投与を必要とした。これまでに報告された375mg/m^2/回(最大投与量500mg/回)4回投与症例と、末梢血B細胞枯渇期間及び再発までの期間を比較したところ、いずれも1回投与群が有意に短かった。本研究の結果から、難治性ネフローゼ症候群患者に対するリツキシマブ療法は有効であるが、1回投与法は有効性の面で不十分と思われること、ネフローゼ症候群の発症及び再発にB細胞が重要な役割を担っている可能性が高いことが示された。この結果をもとに、医師主導型治験「小児難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ療法」に登録された患者におけるリンパ球表面抗原やサイトカインの解析を、B細胞活性化マーカーおよびそれに伴うT細胞やサイトカインの変化に注目し、リツキシマブ投与前後、再発・寛解時など臨床経過との関連とあわせて検討している。
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