2008 Fiscal Year Annual Research Report
コレステロールがセロトニン神経およびドーパミン神経の発達に及ぼす影響
Project/Area Number |
20790767
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
坂田 ひろみ The University of Tokushima, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (50294666)
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Keywords | 脳発達障害 / コレステロール / セロトニン / ドーパミン / Shh |
Research Abstract |
妊娠3日目のWistar-Hannoverラットに対し、75mg/kgのコレステロール合成阻害剤AY9944を経胃投与した。妊娠12日目と20日目に麻酔下で帝王切開し、仔を取り出した。胎生12日齢の胎仔は4%パラホルムアルデヒドにて浸漬固定した後、whole-mount免疫染色を行った。胎生20日の胎仔は、頭部をブアン液中で切開して脳を取り出し、パラフィン切片を作製した。一部の仔は脳を取り出した後、液体窒素で凍結し、HPLC法によるモノアミンの定量に用いた。胎生12日のAY9944曝露胚においては、抗neurofilament、抗lslet-1、および抗Pax7抗体を用いたwhole-mount免疫染色の染色像に差を認めなかった。胎生21日齢のAY9944曝露ラットにおいては、体重と脳重量が有意に低かったものの、セロトニン、ドーパミンおよびその代謝産物の量に有意な差は認められなかった。脳重と体重が対照群より低値を示したことや、母獣を帝王切開した際に観察される腹腔内の脂肪量がAY9944投与母獣で少なかったことから、AY9944によりある程度の低コレステロール状態が引き起こされたことが予測されるが、今回の投与時期と投与量は、前全脳胞症を惹起するものとして設定したものであるにも関わらず、AY9944投与群に前全脳胞症を示した例はなく、吸収胚の数も対照群と差がなかったことより、想定よりもコレステロールが低下していなかった可能性が考えられた。現在、投与量や母獣に与える固形飼料、使用するラットの系統などの影響を考慮しながら、低コレステロールモデルの作製を行っている。
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