2008 Fiscal Year Annual Research Report
新生児、早産児の皮質、皮質下機能を含む視覚能測定と臨床応用
Project/Area Number |
20790768
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大久保 賢介 Kagawa University, 医学部, 助教 (80335851)
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Keywords | 超低出生体重児 / 視線追跡装置 / 視運動性眼振 / 早産児 / 正期産児 / 視覚機能 / 視覚空間認知障害 / 広汎性発達障害 |
Research Abstract |
【研究目的】超低出生体重児は精神運動発達遅滞、視聴力障害ならびに広汎性発達障害、視覚空間認知障害等が多いことが報告されている。こうした障害の背景には皮質下視覚経路や視覚野の障害が存在する場合があり、これらの視覚機能障害を早期発見し、介入することは新生児医療における必須の課題と思われる。そこで、我々は視線追跡装置(アイトラッカーTobii 1750)を用いて、新生児の視覚機能測定を行い、脳機能障害の早期発見、早期介入に繋げることを大きな目的として、その先行研究として今回皮質、皮質下機能を含む視覚能の評価の指標となる視運動性眼振(OKN)の測定を行ったので報告する。 【対象】対象は当院新生児集中治療室に入院していた早産児4名(在胎25〜30週)と正期産児4名(在胎37〜41週)の計8名の児。測定は生後3ヶ月頃、すなわち早産児は修正40週前後の退院前時期に、正期産児は退院後外来でのフォローアップ時期にそれぞれ行った。 【方法】視線追跡装置を用いて、0.32 cyc./degの白黒縞模様の画像を、1秒あたりゆっくり移動するもの(3.8 deg/sec)と速く移動するもの(15.0 deg/sec)の両者を左右両方向提示し、児の眼球運動を追跡した。 【結果】本装置は角膜反射法を用いて児の眼球運動を追跡でき、ベッドサイドでも外来でも簡便に測定できた。生後3ヶ月の早産児では速度の遅い縞は左右両方向ともに正確に追跡することができたが、速い縞については眼球運動にばらつきがでた。これに対し同年齢の正期産児は速度の速い縞も正確に追跡可能であった。 【考察】OKN反応がおこる速度幅は生後3ヵ月にむけて大幅に広がることが報告されているが、生後3ヶ月の早産児においてはまだ速度の速い縞に対する眼球運動の反応は不十分であった。次年度の研究ではさらに未熟児網膜症児や仮死児とともに症例の検討を加えていく。
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