2009 Fiscal Year Annual Research Report
新生児、早産児の皮質、皮質下機能を含む視覚能測定と臨床応用
Project/Area Number |
20790768
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
大久保 賢介 Kagawa University, 医学部, 助教 (80335851)
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Keywords | 早産児 / 新生児 / 極低出生体重児 / 顔認知 / 視覚機能 / 視線追跡装置 / 学習障害 / 広汎性発達障害 |
Research Abstract |
【目的】極低出生体重児の6歳時における学習障害や広汎性発達障害(PDD)の頻度は一般集団に比べ3-5倍と高率である。PDDでは全般的な知能に比べ顔の同定や表情判断力が劣ることが知られている。我々は視線追跡装置を用いて新生児・早産児の視覚認知機能測定を行い、脳機能障害の早期発見、早期介入に繋げることを目的として今年度は顔に対する選好、注視機能の評価を行った。 【対象】当院入院の早産児7名(在胎24週~33週、出生体重662~1396g)、病的新生児4名(脳室周囲白室軟化症(PVL)、脳室内出血、新生児痙攣、重症仮死児1名ずつ)の計11名を対象として、当院出生の正期産正常出生体重児計17名と比較検討した。早産児は修正3ヶ月に正期産児は生後3ヶ月に測定した。 【方法】顔刺激として同一人物の正常顔と混合顔(顔の内部構造(目・鼻・口)の配置をずらした)とを左右同時に一画面に提示した。5人の顔の左右を入れ替えたもの計10種類を5秒ずつ合計50秒提示し、注視部位と注視時間を検討した。 【結果】早産児の正常顔上半分への注視時間(8.8±2.4秒)は明らかに下半分(3.1±1.9秒)より長く(p=0.028)、正期産児(11.47±4.0:5.13±3.7秒,p=0.018)とほぼ同様に顔の上部への選好性が見られた。注視部位では、正常顔、混合顔ともに目を見ている時間が最も長く、正期産児、病的新生児3名も同様の傾向を示したが、PVL児1名は注視時間が著しく短く注視部位も定まらなかった。 【考察】新生児の顔認知は上下の非対称性がある際、より多くの要素が上部に配置されたものを好むが、今回早産児、病的新生児においてもそれが認められた。またPDDの児では目元より口元への注視が多くなる報告があるが、今回検討した症例ではPVL児以外、目元への注視が多くみられた。今後は、発達に伴う経時的変化の評価を行っていく。
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