2009 Fiscal Year Annual Research Report
新生児低酸素虚血性神経障害の機序解明と治療法の解明
Project/Area Number |
20790771
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤岡 弘季 Osaka City University, 大学院・医学研究科, 登録医 (70382083)
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Keywords | 低酸素虚血 / ビオプテリン / inducible NOS(iNOS) / GTPCH I / NMDA受容体拮抗剤 |
Research Abstract |
本研究は中枢神経系におけるビオプテリン誘導体と一酸化室素(NO)の役割を特に低酸素虚血において明らかにすることを目的とする。 周産期における低酸素性虚血性脳症は重篤な神経学的後遺症を残すことが知られており、社会的に大きな問題となっている。低酸素性虚血性脳症は有効な治療法が確立されておらず、その解決は急務である。 テトラヒドロビオプテリン(BH4)はNO合成系のco-factorとして知られている。NO合成酵素(NOS)には神経に発現するneuronal NOS(nNOS)と血管内皮に発現するendothelial NOS(eNOS)のほかに主にマクロファージで発現するinducible NOS(iNOS)の三種類が知られている。NOは血管拡張因子としての作用が有名であるが、神経伝達物質としての作用や殺菌物質としての作用など多彩な働きが知られている。我々は新生仔ブタの低酸素虚血モデルを用いた研究で大脳皮質ニューロンにnNOSだけではなくiNosが発現することを見いだした。 本年度においては、ブタモデルにおいて、低酸素虚血負荷時にNMDA受容体拮抗剤を用いることで血中ビオプテリン濃度の上昇がおこらないことを見いだした。このことから、グルタミン酸による興奮性神経伝達がビオプテリン合成に影響していることが示唆された。また、ラットモデルについては低酸素負荷、けいれん重積負荷を行ったが、iNOS陽性ニューロンは発現しなかった また、ビオプテリン合成系の律速酵素であるguanosine triphosphate cyclohydrolase(GTPCH) Iの異常症としては瀬川病がある。一般にビオプテリン合成系の異常ではビオプテリン欠乏によりPhenylalanine hydroxylase活性が低下し、高フェニルアラニン血症を呈するが、瀬川病ではGTPCH Iのheterozygous変異が原因であるため、高フェニルアラニン血症を来さないことが知られている。しかし、我々は瀬川病患者の血中フェニルアラニン濃度を測定した結果、正常範囲ではあるが対照群に比べて有意に上昇していることを見いだし、報告した。
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Research Products
(2 results)