2008 Fiscal Year Annual Research Report
表皮水疱症に対する遺伝子治療効果の検証:疾患モデルマウスのトランスジェニック救済
Project/Area Number |
20790781
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 圭 Hokkaido University, 北海道大学病院, 助教 (20421977)
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Keywords | 皮膚病理学 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
重症型表皮水疱症のモデル動物(VII型コラーゲンノックアウトマウス : Co17 KO)に対してトランスジェニック救済実験を行い、遺伝子治療の有用性を生体レベルで検証する。 1. Col7 KOマウスの準備 : 供与を受け、C57BLマウスに戻し交配を行った。 2. ヒトVII型コラーゲントランスジェニックマウス(COL7 Tgm)の作成 : 表皮角化細胞にヒトVII型コラーゲン遺伝子を強制発現させるTgm、真皮線維芽細胞に発現させるTgm、マウス個体の全細胞に発現させるTgmをマイクロインジェクション法により作成した。3系統のTgm解析では、いずれも蛍光抗体法所見で基底膜部に線状に発色がみられ、 かつ免疫電顕所見でヒトCOL7 NC-1 domainを示す金コロイドが基底板部に認められた。 3. Col7 KOマウスの救済 : Col7 KOマウスのヘテロ(COL7^<m+/->)と3系統それぞれのTgmを交配し、ヒトCOL7遺伝子をもつマウス(COL7^<m+/-, buman+>)を作成し、さらにそのマウス同士を交配させ、ヒトCOL7遺伝子のみをもつレスキューマウス(COL7^<m-/-, hum3n+>)を作成した。 4. 3系統いずれの救済実験においても、その外観、成長においてWild typeと差異は認めなかった。また、蛍光抗体法所見で基底膜部に線状に発色がみられ、電顕所見において係留線維の形成を認めた。 以上の結果より、表皮水疱症患者において、表皮、真皮のいずれに遺伝子を導入しても、作られたCOL7蛋白は基底膜部に沈着し機能的な係留線維を形成することが生体内で証明された。このことは、遺伝子導入細胞を選択することができない直接gene gunで導入を行う際にも治療効果が得られること、また、培養皮膚に導入する際には、培養表皮、真皮いずれを選択しても治療効果が望めることを意味しており、非常に意義が大きい重要性のある結果を得ることができた。
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Research Products
(3 results)