2008 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p53類似遺伝子p51/p63の表皮細胞分化における機能の解析
Project/Area Number |
20790786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 英作 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (20451586)
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Keywords | 発生・分化 / 表皮細胞分化 / p51 / p63 / p53 |
Research Abstract |
1、表皮細胞の増殖や分化にp63が関与していると考えられているが、詳細は明らかではない。私は表皮細府を培養し、p63の発現を変化させることにより、分化特異的マーカーの変化を調べた。すると早期の分化マーカーであるケラチン1の発現が誘導された。しかし、生体内ではp63は発現しているが、ケラチン1発現はしていない。この矛盾を解消するために、私は真皮からの液性因子がp63の効果を打ち消しているのではないかと考え、解析した。表皮細胞分化に関して、表皮細胞の発現するp63と真皮線維芽細胞が分泌するKGFとが、相互に作用し、ケラチン1の発現調整をしていることを証明した。さらに、そのメカニズムとして、ERKとJNKを介していることを証明した。 (OgawaE, 2008, JBC) 2、皮膚における悪性腫瘍に乳房外バジェット病というものがある。この悪性腫瘍は、真皮へ浸潤するとパジェット癌と言われ、予後が悪い。私は、浸潤傾向の強い乳房外パジェット癌症例を経験した。ところどころで、squamous cell carcinomaのように角化傾向を認め、squamous metaplasiaを呈した。そして、角化傾向の強いところでは、p63が過剰発現していた。以上から、パジェット病でp63が過剰発現したため、squamous metaplasiaが起きたのではないかと考え、現在、腫瘍細胞のcell lineを用いて、解析をしているところである。
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