2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌抑制遺伝子p53類似遺伝子p51/p63の表皮細胞分化における機能の解析
Project/Area Number |
20790786
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小川 英作 Tohoku University, 大学院・医学系研究科, 助教 (20451586)
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Keywords | 発生・分化 / 表皮細胞分化 / p51 / p63 / p53 |
Research Abstract |
表皮は深層から順に基底層、有棘層、顆粒層、角層に区別される。表皮細胞が様々な刺激により制御を受けて、正常に分化することにより、水分保持能や刺激防御能を持ち、恒常性を維持している。それが破綻することにより、様々な皮膚疾患を生じる。表皮細胞の分化を解析することは、皮膚疾患の病態を解明する上で重要である。特にp51は、ここ数年表皮細胞の分化に重要な因子であると認識されている。現在、私はp51から表皮細胞の分化のメカニズムを解明している。 昨年度まではp51によりどのようなシグナル伝達の活性変化が起こるかを実験によって明らかにした。ケラチン1の発現メカニズムにp51が関与していることが分かった。 今年度は、p51の下流のシグナルとして、sonic hedgehogの関与を考え、解析している。sonic hedgehogは、生物発生段階の形態形成に重要な分子であるが、皮膚癌の一つである基底細胞癌ととても密接に関連していることが知られている。まず、表皮細胞でp51を過剰発現させたところ、sonic hedgehogのプロモーター活性が上昇することを確かめた。次にp51には多数のアイソフォームが存在することが知られているので、そのうちどのアイソフォームで活性化されるかを調べた。すると、p51の中でも、表皮で最も存在するΔNp51Bで最も上昇することが確かめられた。実際に、基底細胞癌で、p51の発現が多いことも、免疫染色で確かめた。以上のことから、現在、基底細胞癌の成立とp51、sonic hedgehogには関わりがあるのではないかと考え、さらなる解析を進めている。また、Notchシグナルとの関連についての解析も手伝っている。
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Research Products
(3 results)