2009 Fiscal Year Annual Research Report
真皮線維芽細胞から部位特異的に分泌される蛋白の機能解析
Project/Area Number |
20790789
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
安田 正人 Gunma University, 大学院・医学系研究科, 助教 (10451709)
|
Keywords | 真皮線維芽細胞 / 掌蹠 / 口腔粘膜 / 表皮角化細胞 |
Research Abstract |
皮膚は体の部位により様々に異なる生化学的特性や組織学的構造を呈している。近年、真皮線維芽細胞が体の部位により、その形質を変化させ、体の部位毎の皮膚の違いに影響を与えていることが明らかとなってきている。これまでに私が同定した口腔粘膜の線維芽細胞に特異的に発現するEGFL6(MAEG)について検討を進めた。口腔粘膜の線維芽細胞に特異的に発現するEGFL6の表皮角化細胞への直接的な作用を確認するため、表皮角化細胞にEGFL6を強制発現させることにより、オートクリンでの作用を解析した。一時的な遺伝子導入ではケラチン13などの分化型ケラチンをわずかに誘導することが確認されたが、恒常的に強制発現させた場合は分化はむしろ抑制され、増殖能亢進に作用した。また、胎生期マウス皮膚ではEGFL6は毛包を除く周囲の基底膜部に沈着していることから、EGFL6が口腔粘膜に発現していることで毛包の発生を抑制している可能性を考え、毛包発生に関与する因子について検討した。恒常的にEGFL6を強制発現させた表皮角化細胞ではFoxn1の発現が亢進し、BMP2, hairless homologの発現が減弱していた。口腔粘膜は皮膚に比べ、創傷治癒速度が速いことが知られている。口腔粘膜では線維芽細胞から分泌されるEGFL6により角化細胞の増殖が亢進され、創傷治癒が促進されると考えられる。また、hairless homologは、ヒトでの変異により先天性無毛症を生じることが知られており、EGFL6によりその発現が減弱されることは、口腔粘膜において毛包の発生を抑制している可能性がある。これらの結果より、EGFL6は線維芽細胞から分泌されることにより、口腔粘膜において、その形態維持に重要な役割を果たしていることが示唆された。
|