2008 Fiscal Year Annual Research Report
リンパ球系悪性腫瘍に対するHDAC阻害剤の不応性のメカニズムと予測因子の解析
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20790802
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
藤井 一恭 Okayama University, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (70452571)
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Keywords | HDAC阻害薬 / バルプロ酸 / NK細胞 |
Research Abstract |
昨年度はまず初めに14種のリンパ腫由来の細胞株を用いて、種々のヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)に対して広範囲に阻害作用を持つTrichostatin AとClass IのHDACのみに選択的に阻害作用を有するvalproic acid(VPA)の増殖抑制効果についてXTT法を用いて比較検討を行った。どちらの薬剤に対しても低濃度で増殖が抑制される細胞株がある一方で、比較的高濃度でも増殖が抑制されない細胞株も認めた。薬剤の違いによる感受性の差が明らかではなかったため、以後の研究では既にてんかんの治療薬として使用されていて、臨床で使用する際に血中濃度のモニタリングの方法が確立されている点から臨床に応用しやすいVPAを用いて検討を行うことにした。これまでに計24株においてVPAによる増殖抑制効果の検討を行っているが、刺激開始72時間後における50%阻害濃度は0.5mM以下のものが7株(T細胞由来4株、B細胞株由来1株、NK細胞株由来2株)、0.5mMから1.0mM未満のものが11株(T : 6株、B : 4株、NK : 1株)、それ以上のものが6株(T : 4株、B : 2株)であった。薬剤に対する抵抗性と細胞由来には特定の関係は見いだせなかったが、これまで報告のないNK細胞由来のものはすべての細胞株で感受性を示した。NK細胞株について増殖抑制のメカニズムに関して検討したところ、EBウイルス関連の2株においては主にG1期での細胞周期の停止によって、aggressive NK細胞白血病由来の細胞ではアポトーシスによることが判明した。
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Research Products
(4 results)